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世界のB級グルメ/02 フォー in ベトナム

現地食探求はバックパッカーのたしなみ。世界のB級グルメを紹介します。
今日のお題はベトナムの国民食である米で作られた麺フォー。

※ トップ画像は市場でフォーを食べる少数民族の女性

米製の麺フォー
ベトナム名物の米製麺フォー

本場ベトナムより、日本のフォーが美味い?

 海外、特にアジアには様々な麺料理があるが、パスタを除くと日本で一番インスタント化されている麺が,ベトナムの米で作られた麺フォーだと思う。ちょっと調べただけで日清、エースコック、ケンミン、成城石井など名だたる企業が各種のフォーを製品化しているのだ。

 味や食感もなかなかの物で、特に食感は米製の麺であるため本来のフォーは柔らか目なのに対し麺のコシを重視する日本人に合わせて、しっかりした歯ごたえを与える芸の細かさ。おかげで箱根庵はかなり長い間、ベトナムより日本のフォーが美味いと思っていました。

 なにしろ初めてベトナムで食べたフォーは、揚げ春巻き付きで¥100以下と値段は安いが、味は薄い、スープはぬるい、麺はふにゃふにゃ、と中国、タイ、ラオスなど周辺諸国の米製と比べても格段に落ちる味だったので。

ハノイ
ハノイ旧市街のフォー屋
あっさり味
あっさり味のフォー

現在のフォーの美味さに驚愕、市場経済すげえわ

 最初にベトナムに行ったのが1993年、2回目のベトナム入りは2015年と22年もたっていました。。
ベトナム南部の大都市ホーチミンは昔と変わらぬにぎわい。もっとにぎわっていたのが、いつの間にできたのよ、と言いたくなる一大観光客街、外国人向けができていて驚きました。
 もっと驚いたのがフォーが劇的に美味しくなっていたこと。どこの店、屋台で食べてもスープ、麺のコシ、付け合わせが向上していてハズレがありません。

路上のフォー屋
繁盛する路上のフォー屋

 これはあれですね、中国のあれと同じ現象ですね。最初に中国に行った1991年は改革開放政策で市場経済の導入が始まっていましたが、まだ社会主義経済の影響も残っていました。
 社会主義経済のモットーは「平等に働いて、平等な報酬を得る」ですが、現実には「頑張って働いても、怠けても報酬は同じ」だったので労働意欲、自由競争が低下し労働者もやる気全然無し状態。
 当時の中国ではけっこう有名な店に行っても、そんなに料理が美味しくなかったのですが、努力して美味しくしても給料に反映されなかったためでしょう。個人商店も認められつつありましたが、夏場にジュースを買っても冷えてない、お釣りは投げてよこす、ありがとうなんて言葉は聞いたことも無い、という社会主義経済的接客態度はある意味新鮮な体験でしたね。

 しかし中国は行くごとにそのサービスが改善されてきました。ジュースが冷えてきて、買えば「謝々」と言われ、愛想が良くなっていきます。中国人も笑顔が金になる市場経済にあっという間に染まり、有名店から屋台まで料理の味も格段に向上しました。
 

社会主義国の看板
こんな看板がなければ社会主義国とは思えないベトナム

 ベトナムも社会主義国ではあるものの、効率の悪い経済を改善すべくドイモイ(刷新)という市場経済導入政策を続けてきましたが、フォーの味向上という見地で見ると大成功。そりゃ昔と同じ味だったら誰も食べに行かなくてつぶれますよ。人間の欲望を刺激して発展させる市場経済すげえわ。

市場
市場のフォー屋台
こってり味
焼き豚入りコッテリタイプ

正しいフォーの作り方

 麺の作り方はうどん、そば、ラーメンのように生地をのばして畳んで切る、そうめんのように生地をのばして細くして麺状にする、冷麺のように穴のあいた圧搾機に入れ絞り出す、など様々な方法があります。
 米で作るフォーは上記のような方法では難しいので、独特の方法で作ります。作り方を見る機会があったので紹介します。

フォーの作り方
フォーを作ってます
乾燥中
フォー生地を干します
  1. 水に漬けて柔らかくした米を臼で挽いて液状にする。タピオカなどのデンプンを加えるとコシが出る。
  2. 布を張った四角い枠に米液を流し込み、セイロに入れて数十秒加熱する。
  3. 固まったフォー生地を干して乾燥させる。
  4. 麺状に切ったら乾燥フォーのできあがり。

 見ている、、おねさんがヒョイヒョイと作るので簡単そうですが、米液を均一に流したり、蒸し上がった生地を破らないように取り上げたり色々コツがありそうでした。そしてこれ、ベトナム名物米で作る生春巻きゴイクンの作り方と基本同じですね。

フォーと油条
フォーの付け合わせに中華揚げパン油条も人気

 乾燥フォーはお店でもどされ、薄めのスープに入れて供されます。スープが薄めなのは、お客が卓上のニョクマム(魚醬)、ライム、トウガラシなどで自分好みに味付けするため。
 ストレートも良いですがフォーガー(鶏肉入り)やフォーボー(牛肉入り)も美味。さらにたっぷりの野菜や油条、ベトナム名クワイを入れて味の変化を楽しむのがオススメ。

簡易屋台
簡易屋台のフォー屋
北部の朝
ベトナムも北部の冬の朝は寒い、フォーも湯気がたつ

米食国にライスヌードルあり、日本を除く

 

 中国の米線(ミーシェン)、タイのクイティオ、スリランカのイディアッパーとアジアの米食国には必ず米の麺・ライスヌードルがあります。
 ビーフンで有名なケンミン食品のサイトがなかなか詳しいです。

 でも米食民族の日本にライスヌードルはありません。なぜだ?
 その答えが農学者・渡部忠世先生のおっしゃった「米食悲願民族」という言葉。これは何かとゆうと日本人は米食民族ではなく、米食したいなと熱望する民族。つまり食べたくとも食べられない状態であったとゆうこと。

 基本的に稲は熱帯・亜熱帯の植物であり、日本で育てる、特に関東以北で育てるには無理がありました。現在も世界の稲作の北限は北海道です。その気になれば年に2~3回も作付けできる東南アジアやインドとちがい、日本では米が作りにくく、米は常に不足気味。

水牛と田んぼ
水牛が現役で活躍するベトナムの農村

 今はコメ余りと言われてますが、日本で米の自給が可能になったのはいつか調べたら、クボタのサイトにすごい記述がありました。それによると、すべての日本人が望めば米を食べられるようになったのは1965年(昭和45年)ごろだそうです。トラタロウすでに生まれてます。そんな大昔ではないですよね…

 かくも貴重な米を麺などにはできない。むしろ日本の麺は米不足をおぎなう代用食として発展した歴史がありました。ライスヌードルって日本人には貴重な食品なんですね。

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この記事を書いた人

 トラタロウは元世界史・地理の教員です。授業のネタにするため毎夏・冬休みにバックパッカーとして海外旅行に出かけ、83ヶ国を訪れました。旅行情報や旅ネタ、海外食生活を紹介していこうと思います。
 2022年(令和4年)末よりマレーシアに移住しました。クアラルンプールに住み、姉妹ブログ『KLダイアリートラタロウ』を作って、移住やマレーシアの情報を発信しています。よろしかったらご覧ください。
https://www.logrecodocu.website/
 
 

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