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海外旅行記NO55 スペイン・ポルトガルちょこっとモロッコ⑥アビラ・セゴビア編

 この旅行記の最終章になります。マレーシアに移住して姉妹ブログ『KLダイアリートラタロウ』を始めたため、なかなか更新が進みませんでした。何しろ2~4月のマレーシアはイベントが多くて書きたい記事がいっぱいあったためです。
 よろしければこちらもご覧ください。
 『KLダイアリートラタロウ』に移動します

マドリッド近郊に訪れたい街が2つあります。街全体が城壁に囲まれた城壁都市アビラ、そしてローマ時代の水道橋が残る街セゴビア。両都市は州は違いますが、同じ方向にある街なので順番に周れます。効率が良いな。

 ※ 1ユーロ=¥122で計算しています。
 ※ トップ画像はセゴビアの水道橋。

目次

城壁都市のアビラ(Avila)です

だんだん高地
だんだんと標高が高くなる気配

マドリッドから電車で行きます

地図
マドリッドから85km

2017年1月1日(日)
 元旦ですが旅行者には関係ないな。未明に起きてアビラ行きの列車が出るチャマルティン駅にメトロで行き、9:00発の列車に乗りました。
 列車は少しずつ高地に登っていく感じ。それはよいが列車内寒いぞ。10:40アビラ駅につきます。

切符
アビラ行きは12.25ユーロ=¥1495
寒い
日当たりの良い席に移り暖をとる
アビラ駅

 夕方にはバスでセゴビアに移動したいので、駅の近くにあるバスターミナルへ移動。バスの時刻を確認し、コインロッカーに荷物を預けました。
 荷物預り所はスペイン語でコンシグナ(consigna)です。バスターミナルで「ドンデエスタ(~はどこですか)・コンシグナ」と聞けば指さしてくれました。コインロッカーだと正確にはアウトマティカをつけるとブエノ(good)ですね。

     スペイン語圏は日本人には旅行しやすい
 スペイン語は母音が5つで日本語と同じなので、カタカナ発音でもけっこう通じてしまう楽な外国語です。
 また、スペイン語圏は英語はあまり通じないのでカタコトでもスペイン語が必要です。
 そしてスペイン語の通用範囲はすごく広いのです。中米~南米はスペイン語、ブラジルのポルトガル語も兄弟言語なのでスペイン語でもだいたい分かってもらえます。
 トラタロウは数字を含めて100ほどの旅行用スペイン語表現しか知りませんが、トラブルが無いかぎりこれだけでスペイン語圏の旅行には全然困りません。旅行者の行動なんて買う、食べる、泊まる、道をきく、など限定されますからね。現地人と「人生いかに生きるべきか」などの哲学的議論はしませんから…してもいいけどできないよ
 スペイン語圏に行かれる方はぜひスペイン語を少し覚えて行きましょう。ただし、本格的にやると動詞の変化など複雑怪奇なので大変だそうです。
 

コンシグナ
コンシグナ・アウトマティカ、2ユーロ(¥244)
旧市街
新市街から城壁都市へ向かいます

街を囲む城壁です

城壁1
城壁が見えてきました

 駅は新市街にあり、歩いて城壁都市に行きます。新市街の近代建築のビルの間から古い教会が見えてくると旧市街です。

           城壁都市とはなに?
 戦乱期が長いヨーロッパでは、都市を守るため壁に囲まれるWalled City が当たり前でした。ドイツ語で城壁をBrug(ブルグ)といいますが、ドイツで語尾にブルグがつく都市(ハンブルグとか)が多いのはこのため。パリやロンドンもかつては城壁都市でしたが、近世になると大砲の発達で城壁の防御機能が低下し、近代になると都市の発展にじゃまな城壁は撤去されてしまいます。
 ドイツのネルトリンゲン、フランスのカルカソンヌなど城壁が完全に残る都市は珍しく、世界遺産に登録され観光地となっていますが、アビラも1985年に世界遺産となりました。

サンビンセンテ聖堂
12世紀建設のサンビンセンテ聖堂
巨大な城壁
巨大な城壁が残る街

 アビラはカスティーリャ州にある人口5万9千人ほどの街で「城壁と聖人の街」として知られています。714年にイスラム勢力の支配下に置かれましたが、1085年にカスティーリャ王国アルフォンソ6世が奪還し、街を守るため城壁が築かれます。

サンビンセンテ門
9つの門のひとつサンビンセンテ門、重厚な造り

 城壁都市アビラは東西900m、南北450mの規模で城壁全長2516m、高さ平均12m厚さ3m。9つの門と87の塔がありますが、これだけの規模の城壁をわずか9年で築きました。ローマ時代の建築物を含む周辺の石材を根こそぎ使う勢いだったとか。

サンタテレサ
聖女サンタテレサの像と城壁
紋章
街の紋章かな
連なる塔
連なる塔は防御力の高さを意味する

    城の塔の役割は?
 中世の城で見かける塔(張り出した城壁)は何の意味があるのでしょうか?
ただの壁だけだと攻撃された場合、その正面からしか防御射撃(弓や弩などによる)を行えませんが、塔があると左右からも防御射撃が可能になります。単純に言うと防御力が3倍になるということです。
 アビラほど塔が多いとその防御力は圧倒的で、よほどの兵力差があるか兵糧・水補給に問題が無いかぎり難攻不落と言ってもよいでしょう。
 だが近世になって大砲が発達すると、城壁は砲撃に弱く崩されてしまうためその役割を終えます。変わって発展するのが、砲撃の衝撃力を吸収するぶ厚く低い稜堡(りょうほ)を持つ星型要塞でした。

大聖堂や修道院です

アビラ大聖堂
アビラ大聖堂

 アビラ大聖堂は12世紀~16世紀にかけて建設されたスペインでは珍しいゴシック様式のカテドラルです。そびえたつ姿は城塞のようですが、後部は城壁と一体化し、円形の城塞が設置され都市防御の一角を担ってました。

大聖堂の円形城塞
紋の装飾
装飾された門
画像をクリックすると拡大します
カテドラル上空画像
グーグルマップの上空からの画像
城壁と一体化しているのが分かる
南側
城壁の南に広がる新しい町並み
サンティアゴ教会
サンティアゴ教会
城壁内
城壁内にも人が住む
サンタテレサ修道院
サンタテレサ修道院、右下に聖女像がある

 アビラの聖テレサとして知られる13世紀の修道院改革者にして聖人に叙せられた女性を記念して建てられた修道院。

城壁内2
西の丘に向かいます
パラドール
パラドールのあたり、だったかな?

西側から見る城壁が絶景です

クアトロポステス

城壁都市の西側は荒地だがドーリア式の柱が4本のこるローマ遺跡・クアトロポステスがあり、城壁を見渡すビューポイントになっている。

クアトロポステス2
画像をクリックすると拡大します
城壁上空からの画像
グーグルマップでの空からの画像
城壁と塔の連なりがよく分かる
連なる城壁
優美に連なる塔と城壁

 きれいに残る城壁と塔。これだけの規模でこれだけ保存状態が良い城壁は少ない。

車と城壁
石橋と城壁
女と城壁

 なぜアビラの城壁はきれいに残っているのか
①スペインは近世に大航海時代で国力を外に向けたため、逆に国内は安定し騒乱が少なくアビラも戦闘で破壊されるような事態がなかった。
②スペイン内乱はあったが、2回の世界大戦には参加せず、戦火で破壊されることはなかった。スペイン全体で遺物の保存状態が良い理由である。ゲルニカは例外。
➂経済の主力であったモリスコ(改宗したイスラム教徒)を追放するなどして、自らの経済力を弱めてしまった。おかげで他の城塞都市で起こった、城壁を破壊して街を拡大する動きがなかった。

木造橋
手前におしゃれな木造橋あり
アルカサル
そびえ立つアルカサル
石造りの橋
鉄道橋なのか石造りの橋がある
緑と城壁
裏門

 晴れた日で良かった。標高1117mにあるアビラは天気が悪いと寒そう。夕刻には冷えてきたので、バスでセゴビアに向かいます。

ローマ水道橋の街セゴビア(Segovia)をまわる

夜の水道橋
夜のセゴビア水道橋

アビラからセゴビアにバス移動

地図

 アゴラ~セゴビアは70kmほどでさほど遠くない。19:15発の中距離バスで移動です。
 2ヶ所ほど途中の村に寄ったので1時間以上かかるが、8:30セゴビアのバスターミナルに着きました。
 バスターミナルから水道橋に近いお宿に歩いていくと、名所がライトアップされていた。

チケット
5.2ユーロ(¥634)
バス
普通のバスです
夜の大聖堂1
セゴビアのバスターミナルに着く直前、車窓から大聖堂が見えた
夜の街
9:00近いが人通りは多い
夜の大聖堂2
大聖堂の横を通過
夜のサンマルティン教会
サンマルティン教会を通過
夜の水道橋2
水道橋に到着
自動チェックイン機
初めてみるマシン、何これ
一番下に鍵が落とされる

 水道橋にほど近いお宿を予約しておいたので向かう。Odeonという宿はすぐ見つかったのだが、ドアが閉まっているし人の気配が無い。そしてドアのそばにATMみたいな機械。どうもこれでチェックインをするようだ。指示に応じて操作し、クレジットカードで支払いをすると下のスロットに鍵が自販機のように落ちてきた。

お宿の内部
中の様子、部屋はバス付でGoodだった

早朝に水道橋を見ていきます

早朝の街
早朝の街を歩く

 セゴビアは古代ケルト人の時代から続く古い街で、ローマ時代に造られた水道橋が残り、大聖堂アルカサルを合わせて世界遺産に登録されています。首都マドリッドからの交通の便も良く、スペインのマスト観光地ですね。

水道橋の中心部
水道橋の中心部、高さ28mの二重アーチが並ぶさまは圧巻
まだ誰もいません
まだ誰もいません

 かつて地中海全域を支配した大帝国がローマ。この国は建築が得意で、多くの遺跡が残るがセゴビアの水道橋もその1つ。
 丘の上の街に17Km先のフリオ川から水を送る設備の一部で813mが残ります
 紀元前1世紀に建てられ、イスラム勢力が撤退する時に破壊されましたが、15世紀末イザベル女王時代に修復されました。

アソゲホ広場より
アソゲホ広場からみた水道橋、上部に聖母マリア像が祀られる
南に向かう
水道橋は南へ向かう
穏やかな登り
緩やかな登りと共に橋が短くなってきた
俯瞰画像1
俯瞰画像、南下した水道橋が東へ折れていく
ローマ建築の粋
ローマ建築の粋がアーチ
短かくなる水道橋
どんどん短くなる水道橋
最終地点
ここが水道橋としての最終地点
2.4mしかない
この水道橋がすごいのが下部でも2.4mの幅しかないこと、それでビル10階の高さを支えている
北側水道
北側の水道橋は街の中へ入っていく
二重アーチ
二重アーチ部分は44あります
グアダマラ山脈
北側水道橋上部から見渡す街、彼方に見えるのはグアダマラ山脈
柱128本
柱は128本あります
アーチ167
アーチは167あります

カテドラル経由アルカサル行き

アルテシェリア広場
水道橋の東がアルテシェリア広場

 古い町並みを抜けて台地の上に立つ街の西端にある宮殿・アルカサルに行きます。途中で教会やカテドラルを見ながら進みました。

旧市街1
旧市街を通ってアルカサルに行きます
旧市街2
城壁ぞいの建物
サンマルティン教会1
サンマルティン教会を通過
サンマルティン教会2
何だか郷土の有名人らしい
カテドラル1
有料なので中には入らなかったけど

 セゴビアのカテドラル(大聖堂)は1768年に建立されたゴシック様式の建物。多くの飾り塔を持つそれは優美で「カテドラルの貴婦人」と称される。

カテドラル2
カテドラルのドーム
台地
台地のはずれに来ました
アルカサル1
無骨な要塞がそびえる正面
ディズニー
反対側から見ると優美なお城

 アルカサルはディズニーのシンデレラ城のモデルになったと言われるきれいなお城、と聞いていたが、現れたのは無骨な城塞。きれいな姿は反対側からしか見れないようだ。

アルカサル2

 

 アルカサル(Alcazar)はAlというアラビア語の冠詞で分かるようにアラビア語起源の言葉で、城塞・宮殿を意味します。14世紀にカスティーリャ王国(スペインの元になった国の1つ)のペドロ1世により建てられました。イスラムの影響があるムデハル様式です。

俯瞰画像2
台地の上の街、一番奥にアルカサル
チケット2
入場5.5ユーロ(¥671)
画像をクリックすると拡大します
空堀
出丸と本丸の間には空堀
騎士
中世の主力は騎士
弩
騎士の甲冑をも打ち破る弩
大砲1
初期の大砲、外輪で砲身を補強
砲兵学校
一時砲兵学校として使用されていた
礼拝所
礼拝所
断崖
城からの眺め、100mほどの断崖の上に建つのだ
ポーク定食
マドリッドに行く前に昼食
ポーク定食8.5ユーロ(¥1037)
チキンフライ
チキンフライ定食、8ユーロ(¥976)

最後のマドリッドはのんびりします

 約2週間の旅を終え、首都マドリッドに戻ってきました。帰りの飛行機に乗る前に1日時間はありますが、特に観光はせずにのんびりします。

マドリーいろんなところ

 Madrid は日本語のカタカナ表記では「マドリッド」と「マドリード」の2つがありますが、地元民は「マドリー」と呼ぶそうです。市内をブラついて印象に残った画像を集めました。あまり観光には役立ちません(笑)。

メトロ1
メトロです
メトロ2
メトロ内部、つり革はありませんが柱多し
ソル広場
街の中心はソル広場
熊の像
熊の像がシンボルです
絵描き
マヨール広場の絵描き
マヨール広場
マヨール広場
フェリペ3世像
フェリペ3世像
ジオラマ1
10センチほどの精巧な人形
ジオラマ2
古代パレスチナには無い作物もあるが

 クリスマスの時期に街頭にイエス誕生を描いたジオラマが展示されるます。聖書時代のパレスチナも描かれるのだが、これは大作・名作だ。時代考証はあやしいけれど。

劇場
劇場の飾り
清掃中
清掃中です
海軍博物館
無料の海軍博物館に行く
海軍博物館2
なかなか充実した展示
地球儀
昔の地球儀です、日本はどこだ
セルバンテス像
セルバンテス像は工事中で入れない
メトロポリタン
フォトジェニックなメトロポリス・ビル
グラン・ピア通り1
グラン・ピア通り
グラン・ピア通り2
いい感じの建物がいっぱい
プラド美術館1
夜の建物は何?
プラド美術館2
プラド美術館の夜間無料開放でした

美味しそうなもの…美味しかったものではありません

 以前来た時(24年も前ですが)より美味しそうなものが売られている。でも値段はすごく高いので見ただけでした。

サン・ミゲル市場1
観光用の食品売り場に改装されたサン・ミゲル市場です
生ハム1
生ハムのいいやつは100gで¥2000
生ハム2
生ハム削っています
パエリヤ
大鍋のパエリヤ
ウニ
ウニ食べるのか、すごいな
寿司
いろいろな寿司があります
味噌汁
味噌汁あるのか、驚愕
柿
柿は日本原産、名前もKaki
マジパン
アーモンド粉で作るマジパン
エルコ
高級デパートのエル・コンテイングレス
タコ
デパ地下のタコ、地中海人は食べる
ピクルス類
ピクルス類は豊富
オリーブ
オリーブは多彩な詰め物あり
和菓子
和菓子あるけどアンコは使ってない
甘い豆は相当異質な物のようです
枝豆
枝豆は世界でもEDAMAME
生ハムケース
楽器ケース?生ハムケースです
チーズ
チーズはイヤと言うほどある

帰国します

 美味しい物は見ただけで、現実の食生活はこんなもの。

お惣菜
デパートのお惣菜です、¥1000くらい
カップ焼きそば
日清のカップ焼きそば(¥194)
お宿1
マドリッドの宿、1泊¥4087
お宿2
看板もないぞ、ロケはメトロに近く最高
トロン
お土産はアーモンドの豆板のような菓子トロン
中国国際航空便
昼前に中国国際航空便、翌日昼に羽田着
機内食1
マドリッド・北京機内食①
機内食2
マドリッド・北京機内食②
機内食3
北京・羽田はお粥
富士山
帰りの新幹線からも富士山が見えました

 16日間の旅行費用は1人あたり 往復航空券¥53000、現地滞在費¥91180
計 ¥144180 でした。はっきり言って安いです。特に往復航空券は破格の安さ。

 詳しい旅程等は 海外旅行記NO55 スペイン・ポルトガルちょこっとモロッコ①サンティアゴ編 の冒頭にあります。お読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

 トラタロウは元世界史・地理の教員です。授業のネタにするため毎夏・冬休みにバックパッカーとして海外旅行に出かけ、83ヶ国を訪れました。旅行情報や旅ネタ、海外食生活を紹介していこうと思います。
 2022年(令和4年)末よりマレーシアに移住しました。クアラルンプールに住み、姉妹ブログ『KLダイアリートラタロウ』を作って、移住やマレーシアの情報を発信しています。よろしかったらご覧ください。
https://www.logrecodocu.website/
 
 

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