現地食探求はバックパッカーのたしなみ。世界のB級グルメを紹介します。
今日のお題はロティチャナイ、マレーシアの定番朝食のひとつです。前回に続いてマレーシア物ですが、2022年(令和4年)9月,2年9ヶ月ぶりに海外・クアラルンプールに行きました。日馬のコロナ規制が緩和されて、何とか行き来できるようになったのです。久しぶりにマレーシアの美味しい物が食べられて、テンション上がりました。
※ マレーシアは漢字で馬来、マレーの音訳ですね。クアラルンプールは吉隆坡と書きます。
![インド系の店](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/fb7fc299d7bfacd241a6309781c4c84d-969x684.jpg)
ロティチャナイとはどんな食べ物?
マレーシアはマレー系、中国系、インド系の3民族が暮らす国で、食事もこの3つから選べます。朝食だとマレー系はナシ・レマッ(おかずとご飯の組み合わせ)、中国系は粥・麺、そしてインド系はロティチャナイが定番。
![プレーン](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/c711d41fe281f0ff66164e6a7ce52753-949x684.jpg)
これは小麦粉で作った生地を紙のように薄く伸ばし、畳んで鉄板で直焼きした物。2~3種類のカレーソースをつけていただきます。
生地がごく薄に伸ばされているので、表面がカリッと焼け、中はジューシーでとても美味しいのです。パイほどではありませんが、折りたたんでいるので少し層ができるのも美味しさのポイント。
カレーソースに具はほとんどありませんが、別注文でおかずを小皿にもらえばボリューミーな朝食にすることも可能。
美味しいだけでなく、プレーンなら驚くほどの安さも魅力。
1日中提供する店もありますが、それは少数派。朝に行けば確実に食べられますが、生地が無くなれば終了です。
![マトンカレー](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/759-912x684.jpg)
2013年の価格
![伸ばされた生地](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/5dd44f473cdfc842ab9816d3109a5077-955x684.jpg)
ロティチャナイ(Roti Canai)のRoti はインドでパン類の総称。Canai はマレーシアのインド人は南インド出身が多いので、その中心 Chennai(チェンナイ)の訛りという説があります。
でも「Canai 、マレー語」で検索してみると「平らに薄く伸ばす」の意とあり、こちらの方が合ってますね。
ロティチャナイとは「平べったいパン」ということ。
ちなみにマレー語は形容詞が後に来ます。「人」は Orang (オラン)といいますが、日本人は Orang Jepun (オランジュプン)です。マレーシアを代表する野生動物 オランウータン( Orangutan )は 「 森の人 」という意味。
ロティチャナイの元祖は南インドのRoti Paratta(ロティパラタ)でほぼ同じ物。名前だけが変わりましたが、シンガポールではRoti Prata(ロティプラタ)と呼ばれています。
ロティチャナイの作り方
ロティチャナイの制作は、生地作り、形成、焼き上げでパンと同じ。
![生地](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/7d5d5de84a5e7df1b307c2e20858b4b7-937x684.jpg)
生地の基本は小麦粉、塩、油脂(バター、マーガリン、ギーなど)、水とシンプル。
レシピや店によって砂糖、ミルク、卵が入ります。発酵はさせませんが、よく伸びる生地にするにはグルテンの働きが大事なので、生地を寝かせるのがポイント。生地が無くなったら、すぐに追加はできません。
![](https://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/22660073-684x684.jpg)
人間に役に立つ微生物の繁殖が発酵
役に立たない微生物の繁殖は腐敗
同じ現象でも人間の都合で呼び方が異なる
発酵とは何?
食品の中で微生物が繁殖する現象です。パンの場合イースト菌などを使いますが、二酸化炭素を出すため生地が膨らみます。これを焼くと気体が加熱されることでパンがさらに膨らむのです。
多くのパンは発酵させて作りますが、ロティチャナイやチャパティは無発酵のため膨らみません。
食品を発酵させると独特の味・香り・うま味が出る、保存が効くようになるため多くの食品製造に使われる技です。
※ ロティチャナイ生地の詳しい作り方を紹介するブログ に移動します
元パン職人さんのブログなので、すごく詳しく分かりやすい
生地作りと焼き上げは頑張ればできそうですが、薄く伸ばすのは難しそう。
ロティチャナイ職人が見事な手腕で生地を伸ばす様子を見れる店も多いです。ピザ生地を伸ばすように回転させながら伸ばしてました。
![生地を回転させる](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/4dde26615e468af1f83b40c7a83d08d3-965x684.jpg)
![生地が伸びました](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/24559514d35bd08f34408ab0ad196c48-969x684.jpg)
![焼き上げ](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/e0c1a8f95571221898b6582312739f9d.jpg)
画像をクリックすると拡大します
![見事な焼き色](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/af619f0cadcf386a94cfd5e536fabd4f-1024x684.jpg)
![](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/9882430eec2e3a8e44812582541beab0-994x684.jpg)
ロティチャナイのバリエーション
生地だけを焼いたプレーン(Roti Kosong)も良いですが、様々な具を入れることで別な美味しさも味わえるのがロティチャナイ。分りやすいのが具の名称がそのままの書いてあるメニュー。3民族が住み、英植民地であったマレーシアでは英語が普通に通じるし、メニューも英語表記が多いので便利。
![](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/86689b7499ecbf343660745d88e7af9a-533x684.jpg)
2022年9月の価格、円安で1リンギット=¥33
トラタロウの好みはピサン(バナナ)、油脂の多い生地とマッチします。
代表的な具材です
・卵…マレー語でTelur
・砂糖…マレー語でGura
・サーディン…イワシのオイル漬け
・コンデンスミルク…マレー語でSusu
・ヤシ砂糖…マレー語でKaya
・玉ねぎ…マレー語でBawang
・ミロ…飲み物のあれ、チョコ風味
・バナナ…マレー語でPisang
・チーズ…マレーシアでもCheese
![](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/943fc7dcb4b649d0642371589559caae-934x684.jpg)
![](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/cda8ec83c6140ac3ca4ace6461ef525c-913x684.jpg)
![](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/ee8595e83336612f41c6cc2fe0da3349-844x684.jpg)
![](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/79c29bbaffe9009fa9e96bba00e81884-843x684.jpg)
知らないと分からないロティチャナイもあります
・Roti Canai Planta…マーガリン増量、マーガリンのブランド名から
・Roti Canai Boom …「ドカーン」と言う意味、小さく厚めでマーガリン・砂糖
・Roti Canai Jantan …直訳すると「男」、卵増量
・Roti Canai Banjir Telur …「洪水」の意、ソースに浸かっている
![RotiChanaiBoom](https://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2023/04/IMG_5267-914x684.jpg)
![冷凍ロティチャナイ](https://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2023/04/P1110309-1024x684.jpg)
にはかないません
一番謎なのがRoti Canai Tissue(マレー語でTisu)。英語で組織、細胞などの意味がありますが、この場合はテッシュペーパーのように薄い、ということでしょう。
薄く焼き上げたロティチャナイを円錐形に仕上げて、マーガリン・砂糖をかけたデザート系ロティチャナイ。店によっては50㎝以上の円錐で出します。
![](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/bfba2be1656a8f1a6dd7599c7824024c-907x684.jpg)
![](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2022/10/8076cc72732c12d7e103a39f039534ae-518x684.jpg)
パリパリで美味しい
マレーシアでロティと言えば、もうひとつ思い浮かぶのが Roti Boy 。メロンパンのようにクッキー生地をのせて焼いたお菓子パン。ロティチャナイと共通するのは、どちらも油脂を多用するので、おそろしく高カロリーです。食べすぎ注意。
ロティチャナイ職人の動画を撮ったので追加します(2023、6/15)
生地をのばして円形に形成、ロティチャナイ・ブーンを焼いています
ロティチャナイは生地を薄く伸ばし、たたんで焼くので少しですが層ができます。生地の具合や伸ばし、焼く技術で店ごとに差が生じます。最近のヒットがこの職人さんのロティチャナイ。層の出来具合が絶妙で最高の食感でした。(2023年12/17追加)
![](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2023/12/IMG_4161-912x684.jpg)
![](http://tabivoyagetrip.blog/wp-content/uploads/2023/12/IMG_4160-912x684.jpg)
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