現地食探求はバックパッカーのたしなみ。世界のB級グルメを紹介します。今日のお題はタイの屋台・ローカル食堂飯。「タイで美味しい物を食べる」が第一の目的ならそれなりのレストランに行きましょう。ただ現地人の生活を垣間見たいバックパッカーとしては、現地人が食べるローカル食を食べてみたいのです。それには屋台やローカル食堂。
タイ旅行も4回目となりましたので、今までに食べた美味しい屋台・ローカル食堂飯を紹介します。最初にタイを訪れた1993年の画像も登場しますが、あまりデジタル化が成功していないので見にくいのはご承知おき下さい。
※ 麺類、菓子・スナック類、お持ち帰り料理などは別項目で紹介予定です
タイの屋台・ローカル食堂利用の基礎知識 Q&A
Q1 どこに屋台・ローカル食堂はありますか
A、首都バンコク(クルンテープ)では屋台の規制が強まり、以前は路上に出現していた屋台はその姿を消しました。そのかわり繁華街やモールなどに屋台を集めたフードコートが増加しています。風情には欠けますが時間が無い旅行者には便利でもあります。

※ フードコートでは各屋台に直接支払う所もありますが、入り口のカウンターで専用カードに入金し、それで支払う場合が多いです。使い残しはカウンターで現金返却してくれます。
以前は金額が印字された金券の束を買っていましたが、まだこのシステムの場所もあるかも。ちょっとレトロな感じで好きでした。

カオサンやチャイナタウンなど観光客が集まる場所には屋台街が作られていますので行ってみましょう。
モールも無いような地方都市でもナイトマーケット(夜市)が開かれ屋台が出ます。朝はローカル市場の食堂街に行ってみるのも楽しい経験になります。
鉄道駅やバスターミナル周辺にも飲食できる場所がありますので移動時は利用しましょう。
Q2 飲食物の注文はどうしますか
A たいがいの国で飲食物の名前ぐらいはカタコト現地語で通じる場合が多いです。ところがタイ語は発音・イントネーションが難しく通じない場合も多い。英語もほとんど通じないのでメニューを指さし注文が確実。数はタイ語の1・2・3(ヌン・ソーン・サーム)、英語もワン・ツー・スリーくらいは通じます。捕捉に指で数を示せば確実ですね。


問題はメニューの言語。バンコクの中心部ならメニューにはタイ語の他に英語(場合によっては日本語もあります)が併記されていますので飲食物の見当がつきます。
でも地方の飲食店では観光地を除いて英語表記はまれ。写真ののった看板やメニューがあればそれを指さすしかありません。



メニューがタイ語オンリーの場合は、タイ語学習者以外はお手上げ。食べている人の皿を指さして同じ物を注文しましょう。


すごく小さな屋台や水上マーケットの調理船などは楽です。品数が限定されているので指さし注文で十分なので。


Q3 飲み物の注文はどうしますか?
A 食物屋台は食物のみ提供する場合が多く、飲み物は専門屋台で買います。ただ屋台街やフードコートは原則持ち込み可なので、コンビニ等で買ってきてもOK。酒を出してない所もありますので欲しければ持ち込みで。

Q4 辛い料理が苦手な場合はどうしますか?
A、 すべてのタイ料理が辛い訳ではありませんし、すべてのタイ人が辛い物好きでもありません。屋台・ローカル食堂で食べられる料理も全部が辛いわけではありません。
また、炒め物など注文後作る料理は「マイ(否定)・ペッ(辛い)・ルーイ(強調)」と言っておけば唐辛子などは抜いてくれます。

プリッキーヌはネズミの糞という意味
最近はあまり辛くなく調理して、辛味の欲しい人は卓上の粉末・酢漬け・生トウガラシで調整してね、という感じがします。時々プリッキーヌが置かれていますが、これは辛いじゃなくて痛いという表現の辛さなので要注意。
辛い料理の代表ソムタムは作る前に辛さの程度を聞かれますので、トウガラシの本数を指定しましょう。

Q4 パクチーが嫌いな場合はどうしますか?
A、 パクチーはコリアンダーの葉で中国語では香菜(シャンツァイ)。ドクダミを薄くしたような独特の香りで好悪が分かれます。日本でも近年これを好む人が増え、パクチストと呼ばれているとか。
不幸にもこれが嫌いは人は、何かを注文するたびに「マイ(否定)・サイ(入れる)・パクチー」と叫んでください。多くの料理にドッサリ入っています。


Q5 タイのご飯はパラパラですか?
A、多くのタイ料理紹介でご飯は粘りがないインディカ米でパラパラです、と書かれています。
でも現実には日本米より細長い品種ですが軟らかめに炊かれたご飯が提供されています。トラタロウが初めてタイを旅した1993年当時はもっとパラパラご飯だったと旅の記録にあります。
変化したひとつの理由が炊き方の変化かな。以前は米を茹でたあとに湯を捨てて蒸す湯取り法が東南アジア全般で使われていました。この炊き方はパラパラに仕上がります。ところが炊飯器が普及すると湯を捨てない炊き干し法となり軟らかく仕上がるようになりました。
インドから西に入るとパラパラの炊き方が好まれますが、現在の東南アジア圏のご飯はどこもパラパラ度は低いですね。現在トラタロウが住むマレーシアではパラパラどころかベッチョリの時もあります。
タイでも東北部のイサーン地方は隣国ラオスとの関係が深く、もち米もよく食べます。独特の蒸し器を見たらもち米と思ってください。

屋台・ローカル食堂飯実食です
① 炒め物

東南アジア諸国はどの国にも華人(中国系)がいますが、タイも人口の1割が華人。
中華鍋を使って手早く調理する炒め物はタイ料理でも基本技術。タイ料理で「パッ(ト)」(トは表記しますが実際はサイレントで発音されません)という言葉が入れば炒め物。タイ風の焼きそば「パッタイ」が良い例です。
カオ(ご飯)をパッ(炒める)すればチャーハンの「カオパッ(ト)」。タイらしく基本の味付けは魚醤のナンプラ。どこでも食べられて美味しいタイ料理の基本です。


屋台・ローカル食堂で炒め物メニューは多彩。なにしろメイン具材(肉や魚介)と野菜を炒めて味付け、ご飯にのせれば完成ですので。
注文する場合も「これとこれ」と具材を指さし「パッ、カオ」と言えば通じてしまいます。


ガティエムがニンニクです

にた野菜)の炒め物


日本でも「ガパオライス」の名でタイ料理の代表格になっているのが「パッガパオ」。
メイン具材とバイガパオ(ホーリーバジル)の葉と共に炒めます。メイン具材によって先頭か語尾にムー(豚)、ガイ(鶏)、ヌー(牛)などがつきます。これも飽きのこない美味しさ。



② のせ物

「安い、早い、うまい」という何かの宣伝文句みたいな屋台飯がこれ。鶏肉か豚肉をゆでたり、煮込んだ物をご飯にのせるだけ。
鶏肉の「カオマンガイ」と豚足煮込みの「カオカームー」がその代表です。両方を出す店もあります。


カオ(ご飯)マン(油)ガイ(鶏)ですが、マンは鶏を茹でた出汁を意味、これでご飯を炊きます。どこのフードコートにも絶対ある定番中の定番メニュー。みそ系のタレでいただきます。
ちなみにシンガポールやマレーシアにも海南鶏飯(ハイナンチーファン)というほぼ同じ料理がありますが、タレが違うようです。


カオ(ご飯)カー(足)ムー(豚)というそのままの料理名。中国の影響を受けた食物で中国語だと「猪脚飯」(中国語では豚は猪、イノシシは野猪と書きます)。固い豚足をとろけるほど煮込んでおりコラーゲン豊富で美容にも良いとか。皮つきと皮無しを選べるらしいが、何も言わなければ皮つきで出てきます。
店によっては八角の香りがキツイので苦手な人は要注意。またトロトロに煮込まれて食べやすいのですが、皮や脂身は高カロリー。まあ、タイ料理は盛りが控えめなのでいいかな。
➂ ぶっかけ飯

タイの市場に行くと「ラーンカオゲーン」と呼ばれる店があります。ラーン(お店)カオ(ご飯)ゲーン(おかず)という意味。20種類前後のおかずを売る店で、ご飯もある店ではお弁当にもできます。ただ飲食スペースは無くお持ち帰り専門がほとんど。
品数は少なくなりますが、このお店の飲食店版がフードコートや夜市にあります。お皿にもったご飯に指定したおかずを盛ってくれる手軽な食堂ですね。





この手の店は中国では経済飯、マレーシアではナシ・チャンプル、ベトナムではクアンコムビンザンと呼ばれ中国~東南アジアでは珍しくありません。
手頃な料金で現地の美味しい料理を食べられるのでバックパッカーには便利な店。
世界のB級グルメ/06 ナシ・チャンプル in マレーシア に移動します
世界のB級グルメ/17 (クアン)コムビンザン in ベトナム に移動します
④ 野菜物

屋台・ローカル食堂飯を食べていると感じるのが野菜の不足。キュウリ輪切り程度の付け合わせはあるがもっと野菜も欲しい。
手っ取り早い野菜補給はパパイヤのサラダであるソムタムです。元々は東北部イサーン地方の料理でしたが、バンコクなどに出稼ぎに来たイサーン人により広まり、やがてタイを代表する料理になりました。
日本ではパパイヤはフルーツという認識ですが、熱帯では未熟な状態(青パパイヤ)を野菜として使うことが多いです。細切りにして水にさらしてアクを抜いたパパイヤは、食感も良くクセも無いので様々な料理に使えます。なによりどこでも育って大量の実をつけます。


近年日本では青パパイヤが活性酸素の発生を抑える抗酸化食品として注目され、スーパーでも見かけるようになりました。トラタロウがかつて住んでいた浜松では路地栽培されていて驚愕! さすがに冬は越せないようでしたが。


スライスしたパパイヤとトマト、インゲン、もやしなどを和え、ナンプラー、干しエビ、ライム、砂糖などで味付け。クロックという臼の中でサークという棒で叩きながら和えるためソム(酸っぱい)タム(叩く)になったそうです。
辛さの決め手のトウガラシ(プリック)は、タイ人なら5~6本入れるといいますが、普通の日本人は1~2本にしておいた方が無難ですね。

この屋台はバイクと連結した移動式

臼が小さめなのがカワイイ
その他野菜がとれるオススメのタイ料理です。

空芯菜の炒め物は定番

野菜やもち米につけていただく


これは蒸しハムを使用
⑤ シーフード
物価の安いタイでシーフード三昧(ざんまい)って夢がありますが、あまりトラタロウの趣味ではありません。
ロブスターや大きな蟹はかなり高い。あからさまにツーリスト価格でそそられません。
屋台・ローカル食堂で食べられるお手軽シーフードで満足しています。


30年前初めて食べたタイ料理です

緑ムール貝バージョンもあります




タイでは安くて人気の食材

カブトガニを見たことはありますか。トラタロウは小学生の時、誰かの親が学校に持ってきてくれたそれを見て感銘をうけました。
日本では瀬戸内海~九州北部に生息しますが、絶滅寸前の天然記念物です。ところがタイではそれを食べることができます。
甲殻類なら美味しいそうですが、なんとクモの仲間。
焼かれたカブトガニには身がほとんどなく、メスの頭部に詰まった卵を食べるようです。直径5ミリほどの卵はゴムのような食感でうま味もなくガッカリ。ネットでカブトガニを食べた人の体験記を読むと「美味しかった、また食べたい」という記述はゼロ。トラタロウの味覚がおかしい訳ではないようです。
⑥ スープ・粥

初めてトムヤムクンを食べた時には、その個性的な味に驚愕。美味いまずい以前に生ハーブの香りに圧倒されました。
あまり好きではなかったのですが、3回目に食べたときその美味さに開眼。異質な味は何回か賞味しないと美味しさが分からないことを知りました。
近年のトムヤム・マイムーブは茹で麺を持参して麺仕立てで食べることです。
バンコクのチャイナタウンではフカヒレが安く食べられます。フカヒレスープ屋台があるのは世界のチャイナタウンでもここだけかな。



米の輸出では世界3位のタイは米料理の本場。そのひとつとして粥もあります。
粒を残した雑炊のような「カオトム」(米・煮込むの意)と粒がとろけかかるほど煮込んだ「ジョーク」に分かれますが、どちらも出汁が効いていて美味しい。
各店でトッピングが薬味に工夫をこらしています。中国粥のお供油条にあたる揚げパンもありますが少し小型。




⑦ その他
イサーン地方の名物からタイ中に広まったタイ式焼鳥がガイヤーン。ガイ(鶏)ヤーン(焼く)とそのまんまの名称です。あちらこちらで売られてはいますが、だいたいは持ち帰り専門店で冷めていたりします。焼きたてを食べられる店を見つけましょう。


中国や周辺諸国に影響を受けた料理もありました。

具は店によって様々

カイが卵でチャイは揚げ焼き

カノムブアンユアン(ユアンがベトナム)

クイッティアオロート
タイでも日本食の人気は高いですが、一番普及しているのはかつ丼かも。豚肉も揚げ物も好きで、醤油と味の互換性があるナンプラの国ですから。バンコクでは昔からかつ丼を食べることができましたが、今はいたる所にある感じです。



バンコクで初めてかつ丼を食べたのは1993年のこと。日本食レストランではなく、タイ人が普通にやっている店にあったので驚愕。
トンカツが少し薄いが、味はまぎれもなくかつ丼です。ただ、ご飯がパラパラのインディカ米で、箸ではとても食べられませんでした(笑)。
ちなみに価格は30バーツ、当時のレートで¥135。物価は3倍以上になっていますね。
今まで食べたタイの屋台・ローカル食堂飯を思いつくままにあげてみました。すべてを網羅(もうら)しているとはとても言えませんが、参考になれば幸いです。
またタイに行って美味しい物をみつけて追加したいです。
※ 麺類、菓子・スナック類、お持ち帰り料理などは別項目で紹介予定です
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