現地食探求はバックパッカーのたしなみ。世界のB級グルメを紹介します。今日のお題はフィリピンのお菓子事情。「フィリピン人は1日に5回たべる」と言われますが、メリエンダ(Merienda)という午前と午後の「おやつ」の習慣があるのが要因です。甘くないスナック類も多いのですが(多すぎるので別項目で紹介予定)、甘く多彩なおやつが沢山ある「お菓子天国フィリピン」なのです。
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フィリピンお菓子事情の特徴
① いたる所にお菓子あり
前述したメリエンダ(おやつ)の習慣があるため、いたる所でお菓子が売られています。高校の前にはお菓子屋があり、休み時間になると高校生が群がっておやつを楽しんでいました。
駅前や路上にもお菓子屋台、行商人が集まり通勤・通学客に販売。夕方ごろにはほとんど売り切れてしまい、お菓子人気のほどがうかがわれます。


② ココナッツミルクを多用
ほぼすべての東南アジア諸国で共通しますが、ココナッツミルクを使ったお菓子が多いのです。
ココヤシの果肉がココナッツ、削ったそれを水に浸して作るのがココナッツミルク。若いココヤシの実の果水であるココナッツウォーターとは別物。
フィリピンは世界2位のココナッツ生産国(1位はインドネシア、3位はインド)でココナッツオイルやパウダーの形で日本にも輸出されています。
ちなみにココ(COCO)とはスペイン語で「お猿」のこと。その訳はこの画像を見れば納得いただけるかと。

③ 伝統菓子はお米で作る
和菓子もそうですが、フィリピンもお米の国なので伝統的なお菓子は米が原料。日本人好みの物が多い。

④ 影響国のお菓子が導入されました
フィリピンはかつてスペインに支配されたためレーチェフランやマハブランカといったスペイン菓子が入りました。アメリカの支配下ではパイやドーナッツが入ります。華人(中国系)も数は少ないのですが影響力は強く、ホーピアやタホといった中国菓子も多い。
近年ジャパニーズ・ケーキなる物も見ます。

揚げ菓子
東南アジア諸国でかなり共通するのが、揚げ物が好きなこと。暑い国なのに熱い揚げ物か? と思いますが暑さに耐えるにはかなりエネルギーが必要みたいです。高カロリーな揚げ物は効率よくエネルギーを補給できるのです。フィリピン人も揚げ物系お菓子が大好き。
① トゥロン ( Turon ) キャラメルがけのバナナ春巻
フィリピンを代表するお菓子のひとつです。
バナナを包んだ春巻ですが、揚げた後さらに黒糖を加えってキャラメリゼさせることで美味しさ倍増の優れもの。
パリっとした食感の春巻をかじるとトロッとしたバナナが現れます。さらにバナナの甘さとカラメルのコクが混じると天国の味。東南アジアには揚げバナナ系のお菓子が多いのですが、その中でも上位に位置するでしょう。
※ 揚げた後に別鍋でカラメルがけすると思っていましたが、揚げながら油鍋に黒糖を入れてカラメリゼさせるという手法でした。

バナナはサバ種( Saba )という短く、太く、角ばった品種を使います。実はこれは調理用バナナで生で食べてもあまり甘くないし固いのです。ところが加熱すると甘味が増しホクホク食感になるイモみたいなバナナ。
※ 実はバナナとイモは植物分類では同じ根菜作物で親戚関係にあります。
春巻の皮は黄色い物と白い物がありました。


トゥロンの中身はバナナが基本ですが Ube ( 紫いも ) 、Malagkit ( もち米 )、Langka ( ジャックフルーツ ) などのバリエーションがあります。




インドネシアの首都ジャカルタにもバナナ春巻キャラメルがけがありました。トゥロンに負けないくらい美味しいのでオススメ。
② バナナキュー ( Banana Cue ) 揚げバナナのカラメルがけ
これはバナナの素揚げをカラメリゼした物。焼く場合もあるようで「キュー」はバーベキューからきたとか。
前述のサバ種バナナを使うためホクホクのそれはバナナよりイモの食感に近いのです。
串に2~3本差して売られることが多いが、串は揚げた後に刺すので串揚げとは違います。
けっこうお腹にたまりますね。

店によってキャラメルの形態が微妙に違う。お気に入りの店ができます。


③ カモテキュー ( Kamote Cue ) 味は限りなく大学イモ
カモテはスペイン語で「サツマイモ」を意味します。サツマイモは中南米原産で、かつてはスペインの支配下でした。メキシコ、ペルー、チリでもカモテ(スペルはCamote)と呼ばれています。
拍子木に切ったサツマイモを揚げてカラメル掛けした物で、食べるとトロミこそありませんが味は大学イモです。
サツマイモも色々あって Japanese Kamote と表示があったそれは断面がオレンジ色でした。「どこの日本だよ!」と突っ込みたくなります。

フィリピン人はオレンジっぽい色の揚げ物が好きみたい。色々な揚げ物がこの色でした。


④ ブチ ( Buchi ) 多彩な餡の胡麻団子
中国菓子の胡麻団子ですが小豆餡は少数派。ウベ(紫イモ)、緑豆、はともかくチョコやチーズまである。


⑤ ミスタードーナツ ( Mister Donut ) 日本から来ました
アメリカの影響でドーナッツも大好き。ダンキンやクリスピーもありますが一番見かけたのがミスド。日本でダスキンが運営しているあれですが、1982年に進出し約600店舗を展開しています。ポンデリングとかもありますが、味はフィリピンナイズされています。


都市部だとカフェや軽食も提供する店舗があるのは日本と同じ。ドーナッツ販売のみのストールもありますが、フィリピンらしいのはバイクと一体化した移動屋台のミスドがあること。


焼き菓子
フィリピンでは電気代が高いこともあって家庭でのオーブン普及率は低いとか。でもスペイン支配時代からパンを食べる習慣はあるのでオーブン系焼き菓子は他の東南アジア諸国より多い感じです。
① ブコパイ ( Buko Pai ) 生ココナッツ入りのパイ
ブコとはタガログ語で「ココナッツ」のこと。若いココヤシの実から削られたココナッツをカスタードクリームに混ぜた物をフィリングにしたパイです。ココヤシの国フィリピンらしい一品。


日本では完熟ヤシの実から取れた固いココナッツの乾燥フレーク以外は入手困難。熱帯では未熟ヤシの実のゼリー状から完熟物まで幅広く選べます。ブコパイに使われるのは中熟くらいの固形ではあるが柔らかい物。ゼリー状では歯ごたえゼロ、完熟は固すぎますので。


② ホピア ( Hopia ) いろいろな味の中国焼き饅頭
中国の月餅が源とも言われる焼き菓子で、薄い皮で各種の餡を包んでいます。餡もMongo(緑豆)、Ube(紫イモ)、Boboy(豚肉)、チーズ、ドリアン、チョコなどと多彩。


インドネシアの観光都市ジョグジャカルタの名物バッピア( Bak Pia )も同じ系統のお菓子。漢字名称「肉餅」を南方系福建語(閩南語)読みした名前です。ホピアも福建語の読みで漢字は「好餅」となります。
※ フィリピン華人の9割は福建系だそうです。


③ キャッサバケーキ ( Cassava Cake ) ケーキの食感ではないけど
キャッサバは南米原産のイモの一種。日本では見ませんが、そのデンプンはタピオカパールの原料です。
すりおろしたキャッサバにココナッツミルク、卵、砂糖、バターなどを加えて焼きますが、膨張剤は無いので膨らみません。ケーキと言いますがモチモチ食感で「ういろう」に近いかな。
ちなみにキャッサバは甘くないサツマイモみたいな味。熱帯ではポテトチップスならぬキャッサバチップスなどにもします。



④ ジャパニーズ・ケーキ ( Japanese Cake ) 大判焼きの小さいやつ
大判焼き、今川焼き、回転焼き、あなたの住まわれる所ではどれが使われていますか? 日本でポピュラーなのに名前がいくつもあるあれが、フィリピンではジャパニーズ・ケーキとして作られています。
日本の物より少し小ぶりですが、円形の穴に生地を入れて作るやり方は同じ。具は小豆餡はあまり好まれないのか緑豆やウベ(紫イモ)の他はチョコやフルーツ系が多いみたい。
※ 日本では姫路の御座候(ござそうろう)を始めとして、地域・店による独自の名前もあるとか。



⑤ ビビンカ ( Bibingka ) バナナ葉のお皿に入ったケーキ
クリスマスの定番菓子というがいつでも、どこでも売っている感じ。もち米粉、ココナッツミルク、砂糖の入った生地を発酵させた生地をバナナ葉のお皿に入れて焼きました。

キャッサバ粉を使ったもちもちバージョンや蒸しケーキもあるようです。

⑥ エッグパイ ( Egg Pie ) 日本人にはプリンタルト
エッグパイの画像を画像検索してみたらアメリカのお菓子に似たような物が大量にありました。パイ生地ケースにカスタードクリームを入れて焼いた物で、スペインにも似たような物はあります。
※ 日本では層になる生地をパイ、クッキー生地をタルトとして分けていますが、他の国々はあまり区別していない感じ。パイ(pie)は英語、タルト(tarte)はフランス語が起源です。


蒸し菓子
フィリピン料理は様々な形で中華料理の影響を受けていますが、「蒸す」というのも中華の特徴。これは製菓も同じで様々な蒸し菓子があります。ちなみに欧米には蒸すという技法はほとんどありませんでした。
① プト ( Puto ) 基本の蒸しケーキ
国民食とも言える蒸しケーキで米粉、ココナッツミルク、砂糖で作るのが基本。日本の物よりきめが細かい感じです。プトは蒸しケーキを意味。
プレーンの他にウベ(紫イモ)、パンダン、ヤシ砂糖、チョコなど多彩なバリエーションを誇ります。


プトの特徴がチーズをのせること。フィリピン人はかなりチーズ好き。スペインやアメリカの影響だろうが問題は熱帯のフィリピンは酪農に向いていないのでチーズが高そうなこと。
ただ現実にはEdenチーズというプロセスチーズが安価に売られています。ただこれは常温で1年も持つという 謎の食品です。
またアヒル卵塩漬けをのせて甘じょっぱさを楽しむバージョンもあります。

クアラルンプールのフィリピン人
居住区でも売っていた

② プト・ブンボン ( Puto Bumbong ) 竹筒で蒸す伝統菓子
もち米にウベ(紫イモ)を混ぜた粒を竹筒に入れて蒸しあげた物。ココナッツフレークをかけていただきます。ピルルトンという色が濃い紫イモを使うのが本道だが、近年は着色料で代用もあるとか。紫イモ自体はさまで味が強くないので外国人には違いは分からないかも。ブンボンは「竹」を意味。


同じようなお菓子がマレーシアとインドネシアにあります。名前もプトゥバンブーと似ているが、この3国はいずれもマレー系民族の国なので共通点が多いのです。


③ クチンタ ( Kutsinta ) どこでも見かける人気菓子
米粉にタピオカ粉(キャッサバのデンプン)を混ぜることで、モチモチ食感の蒸し菓子となります。この食感好きは東南アジア全般で同じですね。
アチュエテ( Achuete )という天然色素でオレンジっぽい色になりますが、フィリピンの料理・製菓でよく使われる色素です。


④ レチェフラン ( Leche Flan ) 世界一濃厚なプリン
フランはスペイン名物のカスタードプリンに由来し、レチェもスペイン語で「ミルク」であり、スペイン支配の名残ですね。 実際にはミルクより濃いコンデンスミルクやエバミルクそして卵黄のみを使うのでかなり濃厚な仕上がりになります。
単品で食べる他にもフィリピン名物の氷菓ハロハロに添えるなどされます。



⑤ サピンサピン ( Sapin-Sapin) ういろうの親戚かな
もち米粉、ココナッツオイル、砂糖ベースの生地を蒸しますが、フレーバーの異なる生地で層にするのが特徴。サピンはタガログ語で「層」や「重ねる」を意味します。紫色はウベ(紫イモ)でしょうが他は不明。
マレーシアにも同じような伝統菓子があり、名前もクエラピス(層のお菓子)といいます。


⑥ マハブランカ ( Maja Blanca ) 白いプリプリ食感
ココナッツミルク、牛乳、コンデンスミルクなどを混ぜてコーンスターチで固めた物。サピンサピンとはまた違ったプリプリ食感で、中にはコーンを入れ、表面には焦がしココナッツフレークをおいてアクセントにしています。
スペインのデザート Manjar Blanco が原型のよう。スペイン物はアーモンドミルクを入れたブラマンジェのようなお菓子みたい。ブランカはスペイン語で「白」を意味します。

⑦ ビコ ( Biko ) 黒糖味のもち米です
もち米をココナッツミルクと黒糖で炊き上げただけの素朴なお菓子。上に黒糖や削りピーナッツをのせたり、キャラメルソースをかけたりします。祝いの席で出されるおめでたいお菓子だとか。


⑧ スマン ( Suman ) 葉っぱで包んだ伝統菓子
日本では5月の柏餅を除き、葉っぱで包まれたお菓子はほぼ無くなりました。フィリピンではあちらこちらで葉包み菓子が売られています。
もち米を砂糖の入ったココナッツミルクに浸したあと、バナナの葉などで包んで蒸した菓子がスマン( セブ島では Bud Bad と言うらしい)などがフィリピンを代表する伝統菓子です。


これら伝統菓子の特徴は
① もち米、またはもち米粉を使用
② バナナの葉、または笹の葉的な葉っぱで包む
③ 蒸すことが多いが、焼いたり煮たりする場合もある
④ ココナッツミルク、砂糖のシンプルな味付けが多いが、バナナ・胡麻などを加える場合もある
という感じかな。
味は似た物が多いですね。


葉包み菓子は種類が多く、地域独特の物もあり、名前を聞いても現地語で分からない、名称の表示が少ない、など情報を集めるのが困難。体系化してまとめるのが難しいですね。


ルソン島北部の山岳地帯にある町ボントックの市場で珍しく(最初で最後でした)名前の表示が出ていた。調べるとパトゥパトというイロコス地方の伝統菓子だとか。
その他のお菓子
① ハロハロ ( Halo-Halo ) フィリピンを代表する冷菓
日本のかき氷はシンプルな物が多いが東南アジア諸国には具沢山の物があります。その代表格がハロハロ。
タガログ語で「ごちゃ混ぜにする」という意味のハロハロには、ウベアイス、レーチェフラン、フルーツ、ゼリー、煮豆、コーン、ココナッツなど多彩な具がのり、仕上げにコンデンスミルクがかけられます。
日本の「宇治金時」や台湾の「芒果雪花冰」(マンゴーかき氷)のように特定の味を追求するのも良いですが、具沢山のかき氷も魅力的です。

フィリピンに行ったらどこででもハロハロが食べられる、と思っていました。ところが最初に行ったのが比較的涼しいルソン島北部の山岳地帯だったためかハロハロは発見できませんでした。Mang INASAL などのチェーン店にはあるが何だか味気ないですね。
低地の東海岸都市に下りたらハロハロ群生していました。特に庶民の居住区には簡単なハロハロ屋台が出現し、リーズナブルかつバラエティー豊かな「下町ハロハロ」が味わえました。




専門店の「高級ハロハロ」もあるはずですが、今回は食べる機会がありませんでした。次にフィリピンに行ったらこれを追求しハロハロのハイ&ローをまとめてみたいです。
② タホ ( Taho ) 豆腐だけどスィーツです
タホは豆腐のスィーツ。日本で甘い豆腐といと???ですが、中国や東南アジア諸国では当たり前。
都市では朝方に天秤棒(日本じゃ死後か)を担いだマグタホと呼ばれるタホ売りが、歩き売りするのがフィリピン風物詩。天秤棒の片方の鍋には柔らかい絹ごし系豆腐が仕込まれており、客の求めに応じてプラ容器にまだ温かい豆腐をすくい移します。
もう片方の容器はサゴ(デンプンで作った小粒)やシロップ入れ。豆腐自体に甘味は無く、黒糖シロップをかけるのが定番ですね。売り子によりウベや他のシロップも用意あり。



ルソン島北部の高地都市ダバオは涼しいのでイチゴの産地。フィリピンではここだけというイチゴシロップのタホを味わえます。


③ アイスクリーム ( Ice Cream ) パンにはさんでも美味しい
フィリピンにも高級なアイスクリーム店はありますが、情緒があるのが街頭の移動アイスクリーム屋台。繁華街に出没しコーンやカップにすくってくれます。柔らかい小ぶりのコッペパンで食べるのも良いですね。


アイスの値段は安いが味も安っぽい。まあ美味しい物を食べるというより旅の情緒を求めるものです。


④ ギナタン・ビロビロ ( Ginataang Bilo-Bilo ) 南国の白お汁粉
不思議な呪文か珍獣の名前のようですがギナタンは「ココナッツミルクで調理されたもの」を意味し、ビロビロは「白玉」なのです。ココナッツミルクベースの甘いスープに白玉、イモ、タピオカパール、フルーツなどを入れたお汁粉でした。ギナタン・カラバサ(Ginataang Kalabasa)という料理もあります。カラバサはカボチャで、カボチャのココナッツミルク煮でした。


とりあえず今回調べた結果は以上です。フィリピンの代表的なお菓子はチェックできたと思いますが、まだマニラとルソン島北部しか行っていません。また別な地域にも行って充実させたいと思います。

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