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世界のB級グルメ/14 タジン in モロッコ

 現地食探求はバックパッカーのたしなみ。世界のB級グルメを紹介します。今日のお題はタジン、円錐形の土鍋で作るモロッコの国民食。
 モロッコを旅した時は3日に1回はタジンを食べていました。モロッコは都市部を除いて外食のバリエーションが少なく、地方を周るとまともな食事はタジンだけという状況が珍しくありません。またサハラ砂漠ツァーに参加するとかなりの確率で夕食はタジン。でも飽きないだけの美味しさとバリエーションがあります。

※ トップ画像は街角のタジンレストラン

タジン(Tajine)とはどんな料理なの?

 タジンは鍋料理ですが、「タジン鍋」という独特の土鍋を使うのが特徴。
 本体とフタがセットになっており、本体はフチが高い皿状、フタは円錐形をした独特の形状です。使用法は皿に食材・調味料を入れてフタをして火にかけるだけ。

タジン鍋1
大小各種のタジン鍋
ホクホク
できたてホクホクのタジン

 この形状の鍋で加熱すると食材の水蒸気が、比較的低温の円錐形上部で冷やされて水滴となって戻り、食材からの水分だけで蒸せる無水調理が可能になるのです。
 ゆでるのに比べ水の使用量は最小限ですむため、水が貴重な砂漠地帯や隊商での調理に適しているという歴史的経緯がありました。

 さらにフタが重いため皿とのすき間も水分で密閉状態になります。このためうま味や香りが逃げず、ホクホクに蒸し上がるという効果もあるのです。
 かなり密閉状態になりますが、圧力鍋ではありません。圧力鍋は密閉状態を高くして高圧にすることで100℃を越える調理温度が可能になり、調理時間を短縮できます。

使い分け
注文量に応じて鍋の大きさを使い分け

 タジン鍋はフタは重いですが圧力鍋のような密閉はできません。逆に火力は弱めにしてじっくり蒸し上げるための鍋なので、調理時間短縮は目的ではありません。
 しかしメリットが多いため日本でもちょっとブームになり、各種タジン鍋が入手可能になりました。

 ※ 【2023年】タジン鍋のおすすめ人気ランキング44選 に移動します。
   このバリエーションの多さにはモロッコ人もびっくりでしょう。

タジンの作り方

 基本は主材料(肉や魚など)副材料(野菜など) + 調味料 を皿にいれてフタをしたら火にかけるだけ。肉類はあらかじめマリネして下味をつけておくなどなど細かいコツはありますが、とても簡単です。

 味付けは塩の他にスパイス類(ニンニク、ショウガ、ターメリック、コリアンダー等)、トマト、油など。塩漬けオリーブを具・味付け兼用で使ったり、アイシャ(Aicha)と呼ばれる塩漬けレモンを使ったりするのが特徴的です。
 スパイス・ハーブはあまり沢山は使わずマイルドな味わい。ジャガイモが多いタジンはまるで肉ジャガの雰囲気。

風格
オリーブ屋の店主、風格あるな
オリーブ
オリーブはすごく豊富
塩レモン
丸ごと塩漬けレモンです
スパイス屋
町のスパイス屋
ハーブ
ハーブ類やトウガラシ、ショウガ
ミントティー
モロッコでハーブといえばミントを使った
「ミントティー」が国民的飲料。
トマト
冬場でもみずみずしいトマト

 モロッコといえばサハラ砂漠があるため砂漠の国というイメージがあります。間違いという訳ではありませんが、それはアトラス山脈の南の話。
 アトラス山脈の北、大西洋・地中海に面した部分は地中海性気候でイタリアやギリシャとにた気候。どおりでトマトやオリーブが豊富なはず。

タジンのバリエーション

 タジンは主材料 + 調味料の組み合わせでバリエーションは無限。スペインのパエリアみたいに「100の家庭があれば100のタジンがある」ことでしょう。でも旅行者が食べる機会があるタジンは限定されますね。よく見かけるタジンを紹介します。

野菜
大きな野菜がゴロゴロ、満足できます

 ① 野菜のタジン
 モロッコの市場には冬場でも立派な野菜が並んでます。冬場のモロッコのアトラス山脈の北、そして南でも朝晩はかなり寒いのでアツアツの野菜タジンは美味。
 特にオリーブ入りは、その酸味や塩味が蒸されることでマイルドになって苦手な人でも食べやすいのです。

野菜2
1月なのにこの豊かさはなに
野菜3
みずみずしい野菜です
塩レモン2
塩漬けレモンをカットした物を
加えてます。細かく刻むこともあり。

 ② チキンレモン・タジン
 チキンと塩レモンが定番の組み合わせ。淡泊なチキンのアクセントになります。

鶏1
生け鶏を取引中
牛肉
足がぶらさがっている牛肉屋、隣は鶏
羊肉
胴体やモモ肉が目印の羊屋
羊肉2
一見すると野菜タジンだが中に羊肉

 ➂ 羊肉 or 牛肉 のタジン
イスラム教圏なので豚肉はありません。羊肉・牛肉はマリネして下味をつけ、最初に蒸して火を通し、野菜をかぶせて仕上げ蒸しをします。
 ④ ケフタ・タジン
 肉団子コフタのモロッコ訛りがケフタ。卵と相性が良く割り入れて蒸します。挽き肉バージョンもあり。

ケフタ・タジン1
外れの無いケフタ・タジン
ケフタ・タジン2
トマトソース・バージョン

 ⑤ 魚のタジン
 モロッコの沿岸部は漁業もさかん。当然のように魚のタジンもあります。市場にはエビやロブスターも水揚げされており、これをタジンにしたらさぞや美味でしょう。
 ※ モロッコ大西洋岸はタコ漁が盛ん。ほとんど日本に輸出されるそうです。最近は不漁が伝えられますが。

魚1
港町タンジェの魚市場
魚2
日本人なら好きになる魚タジン
魚3
立ててディスプレイの鮮魚、異様に迫力あ
豆
なかなか相性が良い

 ⑥ 豆と卵のタジン
 一回しか食べる機会がなかったが、デンプン質の豆と卵の相性が良かった。
 田舎の食堂で食べたがお値段も格安! 逆に観光地では高い価格を請求しにくいのでメニューに載せづらいか。

タジンのお供はホブス

 ジャガイモが入ったタジンは主食 + おかず、みたいなものでそれだけで十分な場合もありますが、普通はモロッコのパンであるホブスと一緒に食べます。
 丸いモチッとしたホブスはモロッコを代表するパンですが、他にもいろいろなパンがあるので食べ比べるのも一興ですね。

ホブス1
右上にホブスのカゴ
ホブス2
市場のホブス売り
薄焼きパン
薄焼きパンを作ってます

 ※ モロッコのパンについてはこちらのブログに詳しいです
   ホブズだけではない!?モロッコの8種類のパンを一挙ご紹介! に移動します

砂漠ツァーのタジン

 マグレブ(モロッコ、アルジェリア、チュニジアの総称、「日没の地」の意)に行ったら欠かせないのがサハラ砂漠観光。典型的なツァーはラクダに乗って砂漠に入り、テントで宿泊するもの。最低1泊2日からあります。

サハラ砂漠
ラクダに乗ってサハラを往く
テントで
こんなテントで雑魚寝する

 砂漠ツァーの夕食で出る確率の高いのがやはりタジン。モロッコらしい料理であると共に、水が貴重な砂漠に適した料理ですので納得ですね。

たき火
たき火のまわりで調理中
パン
おき火で朝食用のパンを焼いてます
野趣
みんなで野趣あふれるタジンをいただきます
クスクス
1泊以上のツアーだと「クスクス」も出たり

 野菜とオリーブだけの無骨なタジンですが、砂漠の中で食べるのが最高のスパイス。

タジン鍋のある風景

お土産
お土産屋のミニタジン鍋
レストラン
レストランのテーブル
タジンありますよ、とアピール?

 同じマグレブの国なのにチュニジアに行くとタジンは全然別の料理になります。具沢山の厚い玉子焼きみたいなのがチュニジアのタジン。
 そしてタジン鍋もほとんど見ませんでした。アルジェリアを間にはさむとはいえ、影響が無さすぎるのが不思議です。

チュニジア
これがチュニジアのタジン
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この記事を書いた人

 トラタロウは元世界史・地理の教員です。授業のネタにするため毎夏・冬休みにバックパッカーとして海外旅行に出かけ、83ヶ国を訪れました。旅行情報や旅ネタ、海外食生活を紹介していこうと思います。
 2022年(令和4年)末よりマレーシアに移住しました。クアラルンプールに住み、姉妹ブログ『KLダイアリートラタロウ』を作って、移住やマレーシアの情報を発信しています。よろしかったらご覧ください。
https://www.logrecodocu.website/
 
 

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