現地食探求はバックパッカーのたしなみ。世界のB級グルメを紹介します。今日のお題はフィリピンのローカル飯と麺事情。フィリピンはなかなかのB級グルメ天国。前回は大衆食堂であるカレンデリアを紹介しましたが、日本で言えばかつ丼やラーメンみたいな一品で食事になるローカル飯があふれています。フィリピン食事文化の核となるようなローカル飯、そして麺類を取り上げてみました。
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フィリピンのローカル飯特徴
① フィリピン人一日に5回は食べる
と言われています。大食いではなく、食事時間が明確ではなく好きな時に食べる習慣であること。メリエンダ(Merienda)という午前と午後の「おやつ」の習慣があることが理由かな。ローカル飯も食事時間という概念が薄く、1日中売られています。
② いつでも、どこでも、誰とでも
フィリピンの人口は1億1317万人もいますがここ40年ほどで倍増しました。平均年齢も22~25歳と大変若者が多い国。いつでも食べたい時に食べる習慣、これに対応した屋台・軽食堂の多さ、友人と何かを共にしたがる若者の行動原理。これらがミックスすると「いつでも、どこでも、誰とでも」となります。
トラタロウのイメージだと若者集団がいつでも何かを食べている国ですね(笑)。

③ 盛りは少な目
タイも「一日に5回は食べる」と呼ばれていますが、フィリピンと共通するのは「盛りが少な目」なこと。両国とも「少しづつ何回も」食べる国です。
④ 米飯との組み合わせが多い
パンもありますがどう見てもメリエンダ(おやつ)の分類。昔の日本もそうだったが、「食事とはご飯を食べるもの」という感覚が根強く残っています。ガーリックライスにすることが多い。
代表的なローカル飯
① シオマイ・ライス( Siomai Rice )
フィリピンの華人(中国系)は数は少ないのですが、経済を握っているし食物にも影響を与えています。最大の影響はは焼売。フィリピンではシオマイという発音で北京語のシャオマイが広東語のシウマイが起源ですね。


シオマイはホットスナックとしてそのまま食べるが主流ですが、ご飯さえ用意すれば食事としても提供できます。フィリピンのお約束はカラマンシー(小型のライム)を添えること。


焼売は当然白米に合うのですが、チャーハンでも行けます。フィリピン最大の中華料理チェーン店チョーキン( Chowking・超群 )の看板メニューのひとつがシオマイ・チャオファン。日本語の発音で「しゅうまいチャーハン」と言っても通じてしまう(笑)。


シオマイがマッチ
② パレス ( Pares )
朝ごはんの定番である国民食。牛骨・牛脂・内臓を煮込んだスープですが、米飯と合わせます。路上の屋台や市場食堂などで見かけますが、朝しかやっていない店もあり。麺と合わせるビーフマミーも人気。


スープは意外にもあっさりした味。基本は安い内臓肉ですが、オプションで正肉を入れた豪華バージョンもあり。店によって味やトッピングが違うので地元民はお気に入りの店に行くみたい。




③ イナサル ( Inasal )
「グリルされた物」を意味する Inihaw(イニハウ)を語源とするチキンもも焼き。醤油系の甘辛ダレで焼くそれは日本人がはまること請け合い。バコロド地方(ネグロス島)の名物だったが今や全国版です。


これは外しません。
路上で炭火で焼かれるイナサルを食べるのが理想ですが、路上店はそんなに見かけません。ジョリビー系のファストフード店である Mang INASAL はたいがいの都市にあるので、ここで食べるのもあり。

ちなみに焼鳥屋もありますが、味付けは違います。

④ バーベキュー( BBQ )
路上でもうもうと上がる煙の中で各種の肉を焼くのがBBQ屋。前述のイナサルとダブりますが、もっと様々な肉を焼いています。
ただ路上のBBQ屋はなかなか遭遇しないのでBBQのチェーン店である Andoks や AA BBQ を探すほうが手っ取り早いかな。
どの店舗もご飯を売っているので食事にできます。





⑤ お粥(Porridge)
お米の国なので当然のようにお粥もあります。ただ数種類に分かれているみたい。
A、ルーガウ(Lugaw)
一番基本となる鶏出汁のお粥で色は白っぽい。屋台で朝食用に売られています。ネギ、フライドガーリック、トウガラシ、醤油、カラマンシー(小粒のライム)などを加えて味を調整します。


B、ゴト(Goto)
ルーガウをベースに牛もつ(ミノ、ハチノス、センマイ)を加えて煮込んだ粥で茶色系。ゆで卵をトッピングするのが定番。福建語で牛の胃袋を意味するgú-tō(牛肚)が語源だとか。
ゴトはマニラ以南では単なるスープを意味する言葉になるとか。ローカルルールが多すぎる。
※ 屋台だとゴトもプレーンな物はあんまり具が入っていません。豚肉や厚揚げなど店によって様々なトッピングが用意されています。

C、アロス・カルド( Arroz Caldo )
鶏出汁やブイヨンで炊いたお粥で鶏肉を入れるのが定番。名前はスペイン語でアロスは米、カルドはブイヨンを意味。
スペインもイスラム教徒の影響で米を食べる地域であり、パエリアが有名。アロス・カルドソ(Arroz Caldoso)というスペイン粥のフィリピン版かと思ったが、本家はオリーブオイルを使ったりするのでもはや全然別の物。



⑥ フライドチキン( Fried Chicken )
東南アジア諸国はけっこう揚げ物が好き。熱帯の酷暑に耐えるためのエネルギー補給であり、食物を安全に調理・保存するための手段だったりします。フィリピンも揚げ物が多いが特に鶏肉が好きでフライドチキンだらけ。アメリカ支配の影響も大きいのかな。
味は塩・コショウ系のシンプルな物が多いが、他の国と違うのは米飯と組み合わせること。フライドチキン屋にはパックされたご飯が売られており、これで食事として完成されてしまう。


ジョリビーは国内店舗数1400店、マクドナルドの2倍というフィリピンのファストフード界の絶対王者。ここのメイン商品もフライドチキンであり、当然米飯もついています。



フライドチキンといえば KFC でありフィリピンにも300店以上展開中。ここもご飯を用意していました。
マクドナルドもフライドチキンや揚げ物メニューが多く、当然ご飯つき。

⑦ シシグ ( Sisig )
ルソン島中部パンパンガ州が発祥。基本は豚肉を炒めて醤油、酢、タマネギ、にんにくなどで味付けした物。鶏肉、牛肉、豚の顔皮、耳などバリエーション豊富。当然ご飯と合わせます。しょうが焼きみたいで日本人には抵抗なく食べられる。


※ この鉄板シシグには生卵がのせられていましたので、あわてて崩して加熱しました。農業まんが『銀の匙』で知りましたが、鶏の卵と〇ンコの出る穴は同じ。卵はサルモネラ菌などで汚染されている可能性が高いので生食する国はほとんどありません。日本の卵が普通に生食できるのは厳格な管理・洗浄体制があるからです。


⑧ シャワルマ( Shawarma )
牛肉や鶏肉を脂身と交互に積み重ねて棒状に積み上げた物を回転させながら焼き上げます。トルコではドネルケバブ、中東ではシャワルマと呼ばれいつのまにか世界に広まりました。
焼けた肉を削ってサンドイッチやラップにすることが多いが、フィリピンではさらに細かく切り野菜を加え、ガーリックソースやマヨネーズソースをたっぷりかけてご飯に載せます。




シャワルマ丼も美味しいのだが、あまり細かく切られると香ばしく焼かれた肉の感じが薄くなりますね。
⑨ レチョン・バボイ( Lechon Babay )
豚肉大好きなフィリピン人ですが、豚肉料理の最高峰がこれ。レチョンは「丸焼き」で ボバイが「豚」。本来はお祝い事や結婚式のごちそうですが、セブ島の物が有名です。


大きなショッピングモールのフードコートで食べることができました。じっくり焼き上げた豚皮のパリパリ感を楽しむというが、トラタロウが食べたそれは予想以上に硬くてバリバリです。


日本では皮がついた豚肉は売られていませんが、トラタロウが現在住んでいるマレーシアでは皮つき三枚肉が普通。歯ごたえがあるので皮だけ炒めて食べたりしています。
⑩ ハンバーガー( Hamburger )
お米の国フィリピンでありますが、意外にもハンバーガー大国でもあります。かつてフィリピンを支配していたアメリカの影響ですね。
① マック、バーガーキングなどの外資系店
② ジョリビーなどのフィリピン資本の大規模店
③ 小さなチェーン店や個人店
がありますが、③のバーガーもけっこう美味い。
まあお米物ではないし、1つが軽いので食事と言うよりはメリエンダ(おやつ)枠なのかもしれません。



街の中心部には大手チェーンのバーガー店がありますが、周辺には小規模チェーンのハンバーガースタンド。地元民がたむろしていてコミュニケーション場のになっていました。


⑪ おにぎり・寿司( Onigiri、Sushi )
米飯大好きフィリピン人ですので、おにぎりや寿司もすっかり現地化して売られています。
寿司は握りずしは大都市以外ではあまり見かけません。カニカマやタクワンなどを具にした巻きずしは地方でも見かけます。韓国移民もいるのでキンパ(キムパプ)も混じっているかも。
ONIGIRI も首都のコンビニでは見ますが、地方に行くと遭遇率は低下。チーズが好きなフィリピン人ですので、チーズ入りおにぎりもあり美味しい。



⑫ 日本食(Japanese Foods)
フィリピンは第二次世界大戦中に日本に占領された歴史があるにもかかわらず、国民の8割が日本に親しみを感じてくれている親日国です。大都市には日本食があふれていますが2つのパターンあり。
パターン① 日系レストランの進出
ペッパーランチ、ラーメン凪、CoCo壱番屋、味千ラーメンなど数々の店が進出。でもお値段はちょっと高め。


パターン② 現地資本の日本食店
大都市のモールにあるフードコートには日本食店が1つはありますが現地資本の物が多い。値段もやや安めでフィリピン流アレンジ日本食もあって面白い。


豚肉、醤油、米飯が好きなフィリピン人には「かつ丼」がもっと受けるのでは? でも「かつや」は直接は進出していません。KATSUYAというチェーン店はあるがカナダの日本食店だった。




代表的な麺類
フィリピンの麺類の特徴
① 他の東南アジア諸国同様中国からの影響だが、中国にもある麺(ローミーくらいかな)は少なく、フィリピン独自の進化をしています。
② 基本的に「加熱処理済み麺」(蒸し麺)を使い、生麺を店頭で茹でることはしない。
これは東南アジア全般で共通しており、暑い気候なので熱々の麺はいらないのと、屋台で売るので湯通しでOKの麺が便利だから。または短時間で茹で上がるビーフンか春雨を使用。

③ お米の国だが麺の中心は小麦粉麺。米麺はビーフンくらいで春雨が少々。
フィリピンは気候的に小麦栽培に向かず、小麦粉はほぼ輸入。年間555万t(2023年)を輸入し、日本の500万t前後を上回っています。
世界の小麦輸入国の9位に位置するが、貿易収支を圧迫する要因だとか。

① パンシット・カントン( Pancit Canton )
フィリピンの麺料理の代表格で、黄色い中華麺を醤油、オイスターソース、ニンニクなどで炒めた焼きソバ風の物。パンシットはタガログ語で麺全般を意味し、カントンは広東なのかな?
麺を食べるアジア諸国によくあるが、長い麺が「長寿」のシンボルとして祝い事にも使われるとか。
あまり専門店という物は見ないが、調理が手軽なためカレンデリア(大衆食堂)などで作り置きされ、テイクアウトされていた。
ビーフン版のパンシット・ブホン(Pancit Bihon)や春雨版のパンシット・ソタンホン(Pancit Sotanghon)もあります。





② マミ( Mami )
スープヌードルの代表格。麺はパンシット・カントンと同じような中華麺だがスープが鶏・豚・牛・魚と多彩でバリエーション豊富です。前述の牛スープ・パレスに麺をいれたパレスマミもこのバリエーション。


③ バッチョイ( Batchoy )
豚ダシ、塩味、あっさり目で日本のラーメンの感覚に一番近い感じ。地域・店でスープや具が違うので、お気に入りを見つけるのもあり。


④ ロミ( Lomi )
太目の麺を使うあんかけ麺で、福建省の名物(滷麵/卤面・ローミー)が元みたい。ちなみにフィリピン華人の9割は福建系で、同じく福建系が多いマレーシアにもローミーは伝わっています。


⑤ ミキ(Miki )
ルソン島北部イロコス地方のご当地麺で、すこし太目の小麦粉製平打ち麺。スープ麺・炒め麺の両方に使われていましたが、スープはベニノキの種などで赤・黄色に着色されていた。


⑥ カップヌードル( Cupnoodle )
日清のあれが何でフィリピンのローカル飯なんだ? と思いますよね。でもスーパーなどで大量に並ぶカップヌードルを見ると国民食と言っても過言ではないかも。味もフィリピン人好みの物が多数出ています。
また食間に食べるメリエンダ(おやつ)を想定してか標準サイズの半分ほどのミニが主流なのがフィリピン事情ですね。ちなみに空港のラウンジにもありました。フィリピン麺類のカップ版はありませんでした。



⑦ ラーメン( Ramen )
ラーメンも日系店が進出していますが、現地化されたローカル店も大都市では見ます。ローカル麺類に比べて高い感じ




ここで登場したローカル飯・麺類はマニラとルソン島北部の物です。多くの島々で構成されるフィリピンは地方色も強いので、また他の地域にも行って補足していきたいと思います。

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