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海外旅行記NO55 スペイン・ポルトガルちょこっとモロッコ➂タンジェ編

ジブラルタル海峡はスペインとモロッコの間にある地中海の出入口。一番狭い所は14kmしかありません。政治・戦略・交通の要衝で歴史・文学・映像にたびたび取り上げられるので一度渡ってみたかったのです。スペイン・ポルトガル旅行ですが、ジブラルタル海峡を渡り、ちょこっとだけモロッコを訪れました。
 モロッコ自体は第26回海外旅行で2003年に行ってますが、ジブラルタル海峡に面した街タンジェまでは行きませんでしたので。※モロッコ通貨1ディラハム(¥12)で計算しています。

 ※ トップ画像はタンジェの街とイスラム衣装の現地女性

目次

ジブラルタル海峡を渡ってタンジェに行くぞ

セビーリャ行程図
おおむね400kmぐらいかな
バス
セビーリャ行のバス

 モロッコに行くには、とりあえずリスボンからスペインに戻らねば。リスボンを21:30発の国際バス50ユーロ(¥6100)でスペインのセビーリャへ。400kmぐらいあるはずだが、朝の5:00には着いてしまった。ポルトガル・スペインはこんなに近いのに時差があり、スペイン時間は1時間進みます。バスの休憩時間を引くと実質6時間の旅。旅行というと目的地での観光がメインだが、道中のありさまも楽しいものです。

バスタの絵
セビーリャのバスターミナル、壁にアンダルシアっぽい絵が描かれる、早すぎて窓口は開いていない
バスタの絵2
バスの駅
バスの駅と書いてあります
オレンジ
街路樹が実をつけたオレンジだ
一ヶもらって食べてみたが不味かった!
バス2
アルヘシラス行きのバス
画像をクリックすると拡大します

 モロッコ行のフェリーが出るタリファに行くつもりだったが、フェリーが出るもう一つの港アルヘシラス行きバスが7:15に出るのでこれにします。19.4ユーロ(¥2367)

田園風景
夜が明けるとアンダルシアの田園地帯、彼方の丘に教会をいただく街が見える
城跡
城塞の跡かな
馬の放牧
馬が放牧されていました
白い街
アンダルシアらしい白い家々で造られる街を通過
アルヘシラス行程図
3時間ほどで着きました
アルヘシラス港湾
アルヘシラスの港湾地帯

 アルヘシラスはスペイン有数の港湾都市だが、観光的には無名。でも対岸に英領ジブラルタルがあり、ロンダへ行く鉄道の起点なのでモロッコに行ったあと戻ってきます。

アルヘシラス港
アルヘシラス港のターミナル
フェリー1
モロッコ行のフェリー
画像をクリックすると拡大します

 11:05発のタンジェMed新港行きのフェリーに乗り込む。20ユーロ(¥2440)
タンジェの街に直接入る便ではないようだが、最短距離を往くので1時間20分ほどで着いてしまうようだ。

出入国
船内で出入国手続きをする
出港
ジブラルタルロック
港の対岸に巨大な岩山、これがジブラルタルロックに違いない
タンジェ行程図
図の右上セウタはスペイン領
モロッコの大地
モロッコが見えてきた、なにやらアラビア文字が

 上図のようにジブラルタル海峡は狭いのでヨーロッパとアフリカを両方一度に見れます。これを写真にとるのは難しいが。フェリーはタンジェから50kmほど離れたMed新港に着きます。

 映画『Uボート』に見るジブラルタル海峡
 地中海は狭くて気温が高いので海水の蒸発が多く、大西洋にくらべ塩分濃度が高くなります。この塩分濃度差により地中海・大西洋間、つまりジブラルタル海峡には潮流が生まれます。上層には地中海から大西洋に向かう潮流が生じ、下層には逆の潮流が生まれるのです。
 1981年に西ドイツで作られた戦争映画『Uボート』では、潜水艦がこの潮流を利用し、モーターを止めて無音で地中海に侵入を試みるシーンがありました。でも、軍事基地英領ジブラルタルで見張っている英海軍に発見されてボコボコにされてしまいます。
 英領ジブラルタルは海峡を制圧する軍事基地として、戦争によりイギリスがスペインより獲得しました。モロッコに隣接するセウタも同様の理由でスペイン領になっています。地中海の出入口ジブラルタル海峡は古来より紛争の地でもあります。

新港
タンジェMed新港
フェリー2
乗ってきたフェリー
風景
モロッコの風景、スペインと家は違うと思うが

 Med新港からタンジェの街までバスが運行されていると聞いたがその影無し。コレクティーボ(乗合タクシー)が来たので1人5ユーロ(¥610)でタンジェに向かう。

街道沿い1
街道沿いの家、モロッコらしい?
街道沿い2
気候や風土はイベリア半島と同じはず

 タンジェまで1時間半ほど。14kmから45km(ジブラルタル海峡の幅)しか離れてないイベリア半島とアフリカ北岸のモロッコは同じ地中海性気候で見た目にはほとんど変化がない。家など文化的な物は変化があるかな。

到着しました、旧市街で宿探し

タンジェ1
タンジェに入ります
タンジェ2
新市街はアルファベットも書いてあり
モロッコらしさ無し
タンジェ3
しかし住民の服装はモロッコの民族衣装
タンジェ4
女性はイスラームの服装規定を守る

 タンジェに入るが新市街は近代的ビルにアルファベットが書いてあってモロッコらしさ無し。でも道行く女性は民族衣装ジュラバで頭髪をスカーフで覆うイスラームの服装規定ヘジャブを守る。
 男性はズボンが多いが一部の人はジュラバを着用していた。

 

グランソッコ
街の中心にあるグラン・ソッコにつきました
タジン1
ラム(仔羊)のタジン、25ディラハム(¥300)
イワシフライ
イワシのフライ、20ディラハム(¥240)
ミントティー
ミントティー、10ディラハム(¥120)
ユーロ圏にくらべると物価安い!

 とりあえず昼食。やはりモロッコらしい物が食べたいのでタジン料理。円形のタジン鍋に具材を入れ、円錐形のフタをして火にかけます。蒸気が内部で循環するので、水を使わず蒸し料理ができる砂漠らしい工夫の調理法。ジャガイモ、ニンジンを入れると肉ジャガみたいな感じになります。
 飲み物はミントティーが定番ですね。

タジン鍋1
これがタジン鍋(2003年マラケシュ)
タジン鍋2
市場でも売ってます、模様のある円形のはちがう
画像をクリックすると拡大します
カスバ1
城壁に囲まれた旧市街カスバに入ります
カスバ2
カスバ3
宿1

 カスバの中にあるモロッコ建築のお宿に泊まる。タイル張りの壁がモロッコらしいね。朝食付きで24ユーロ(¥2928)、トイレ・シャワーは共同。

 

宿2
部屋の外や階段
宿3
入口は民家と変わらない
ひき肉キャバブ
夕食はひき肉のキャバブ(25ディラハム=¥300)
魚とトマト煮込み
魚のトマト煮込み(25ディラハム)
サラダ
野菜を刻んだだけのシンプルなサラダ
カスバの夜
カスバの夜は更ける

タンジェ(Tanger)のカスバを探索するのです

宿から見たカスバ
宿の屋上から見たカスバ、家々が密集しています

 

 タンジェ(タンジール)はモロッコ北部に位置する人口95万人ほどの街です。ジブラルタル海峡に面する交通の要衝で、古来よりフェニキア人、ローマ帝国、ヴァンダル王国、ビザンツ帝国、イスラム勢力と、時代ごとの主要勢力が支配を続けてきました。
 なのに…あんまり有名な名所が無いぞ。旧アメリカ公使館だとか博物館だとか、ある程度の見所は調べると出てくるが、これは絶対見なければ、これが有名なあれか、というような名所がありません。要衝を守る城とか城塞とか軍港とか無いのか。
 昔からある城壁に囲まれた旧市街(メディナ)、マグレブ(モロッコ、チュニジア、アルジェリアなどの北アフリカ西部諸国総称)ではカスバと呼ばれる、を歩きまわるのが観光です。街歩き好きですけど。

 ※ メディナとカスバはどう違うんだ?これが回答になるかな に移動します

 ※ その昔 『カスバの女』という曲がヒットし、かなりの歌手がカバーしています。日本にカスバという言葉が伝わったきっかけでしょうが、若い世代には死語かな。

朝食1
屋上に簡単ながら朝食が用意される
画像をクリックすると拡大します
朝食2
パンはクロワッサンとモロッコパン
ゲート
城壁がのこる旧市街

 城壁に囲まれた旧市街の西側は市場、商店街、ホテルなどが並ぶ商業地区になっている。国際都市らしく外国人が来ることを意識している感じ。

狭い路地
狭い路地にもお店が開く
小店
2坪ほどの小店
宿の近辺
お宿の近辺も迷路、方向オンチは絶対迷う
ハーブ店
香料やハーブをあつかう店
プチロッソ
プチ・ソッコと呼ばれる繁華街の中心地
土産物屋
土産物の屋台、化石は本物か?
画像をクリックすると拡大します
クッキー屋
みんな甘い物が好き、クッキーが多い
案内板
中心部の案内板
カスバ3
男性は洋装が多い

地元民の居住区に迷いこみます

カスバ4
上から見たカスバ、なんだかグチャグチャですね
ゲート2
ゲートのあたりはまだスッキリしている
迷路1
子供が出てくる狭い路地を入ると迷路
パン屋1
パン屋が生地を発酵させていました
パン屋2
オーブンで薄焼きパンを焼いてます
油脂の多いクレープのようなムサンメンかな
バグリール
下はパンケーキのようなバグリール
バットポット
(上左)クロワッサン、(上右)素朴な味のバットポット
(下)巻いたバグリール

 モロッコはパンが主食の国。メインはホブスと呼ばれるちょっと固めな丸パンで、エジプトのパンに似ています。他にも様々なタイプのパンがありますので一部を紹介しました。
 2003年に初めてモロッコに行った時、長距離夜行バスに乗る前に色々なパンを買い込んで、後で楽しもうと思ったら、降りるときバスの棚に忘れてきてしまいました。こういう事は忘れませんね。

 ラクダで往くサハラ砂漠ツァーに参加して、野外のたき火で焼くパン、簡単なかまどで焼くパンも見ることができました。モロッコに行ったらオススメのツァーです。

ホブス
パンの主力がホブス、2003年撮影
たき火パン
砂漠ツァーに行くと、たき火で焼くパンを作ってくれる
かまどパン
砂漠の家のかまどで焼くホブス

 ※ モロッコのパンを紹介するブログ に移動します

カスバ5
カスバの奥に踏み込むと、店が小さくなっていく
居住区1
店が無くなり居住地へ変化
居住区2
道も狭く曲がりくねってきます
地図
グーグルマップで見ても迷路や行き止まり
車も入れないような路地
白い家にブルーが映える
カスバ6
中心部に戻ると店が増えてきます

居住区の家々は基本白色だが基部はブルーで塗られている家が多かった。同じマグレブのチュニジアも窓や扉を鮮やかなブルーに塗ったチュニジアンブルーで知られるが、これに近い感じ。
 家を外から見るとただの壁だが、中に入ると中庭があったりして以外に広い空間が広がっている。

城塞1
港に面したカスバに残る要塞跡
城塞2
最後の外国支配者ポルトガルの建設か
カスバ7
港からカスバを望む
画像をクリックすると拡大します

街歩きのハイライトはスーク(市場)巡りです

路上の市場
空きスペースがあれば屋台店が出る感じ

 現地の人々の生活の様子が垣間見えるのが市場。トラタロウはどの国に行っても市場を見に行きます。タンジェの街の中心部はいたる所に屋台店が出ており、全体が市場みたい。アラビア語で市場をスークという。ちなみにバザールペルシア語由来です。

夜のお店
夜のお店も風情があるね
市場入口
常設市場の入り口

野菜・フルーツ・肉売り場

常設市場
中に入るとこんな感じ
ディスプレイ1
きれいにディスプレイされる商品
カボチャ
カボチャの切り身大きいな
柿
冬場だがフルーツも多い、中央のは柿
アーティチョーク
そら豆のような味のアーティチョーク
ナツメヤシ
手前の茶色いのは干したナツメヤシ
肉売り場
さらに奥に進むと肉屋の一角、左手の店ニワトリがぶら下がってます
牛肉
イスラム教国なので豚肉はなし、
ここは牛肉屋?巨大なヒズメが見えます
羊肉
羊がポピュラー、胴体ぶら下がっています
画像をクリックすると拡大します

魚介売り場

魚市場
海の街なので海鮮市場もありました
シタビラメ
イセエビやシタビラメなどの高級品
イカ
イカもあります、フライ用かな
にぎわい
午前中が大にぎわい
ウツボ
ウツボ食うのか、モロッコ人勇者だな
女性も買い物
女性も買いにきます

 イスラム教国の中には女性はあまり外にでるべからず、という信条の国があり、市場で売り手も買い手も男だけという国もあります。モロッコはその点おおらかで女性も市場にいました。

 ※ 市場は売り手も買い手も男だけというイスラム教国、ちょっと思い出すとシリア、イラン、パキスタンなどでした。ちょっと保守的な国が多いかな。

立ち魚1
立ててあると迫力あるな
立ち魚2
魚にガンつけられているみたい

 たいがいの国で魚は横に寝かせておいてあるが、ここの市場では一部の魚は立ててディスプレイ。背びれは切られているようで、坊主頭の魚ににらまれているようだ。

タコ
タコ、実は日本にはモロッコのタコが大量に
輸入されている。大西洋物だけど。
ジュラバ
長い外套のような民族衣装ジュラバの男性
画像をクリックすると拡大します

いろいろな市場

街中の店1
何やらモロッコ的な金物屋?左下は水パイプだな
薄皮焼き
生地を鉄板に張り付けて焼いていた
乳製品
乳製品かな
ピクルス1
丸ごとレモンのピクルスが珍しい
レモンピクルス
ミックスピクルス100g¥168かな
クッキー
各種クッキーです
ナッツ
ナッツやドライフルーツ
街中の店2
あちらこちらに小店あり
乾燥ハーブ
乾燥ハーブやトウガラシ
お茶
お茶かな
民族衣装1
民族衣装2
民族衣装3
マラケシュにて(2003年)、こちらは
観光関係の人です

 でかい帽子をかぶって商売する人たちがいる。民族衣装の一種かな?

街中の店3
雑多な店が集まる常設市場の一角
ポプリ
ポプリの類かな
新鮮な鶏
新鮮な鶏です
茶店
市場の一角にある茶店で一休み
画像をクリックすると拡大します
ミントティー
ミントティー、4ディラハム(¥48)
はフレッシュミントを使用
アラブ菓子
甘いアラブ菓子に蜂が群れる、美味しい証拠?
画像をクリックすると拡大します
菓子型
お菓子の型、ちょっとそそられる
クッキー2
酒が禁止のイスラム圏は甘いお菓子が人気、すごく精巧なクッキーがあった
焼くとふくれるので造形難しいのだが
クッキー3
緑色は何だ?
クッキー4
二重になっている
クッキー5
造形が細かいな
グラン・ソッコ
モスクの尖塔が目印のグラン・ソッコ

 街の中心部にあるグラン・ソッコという広場。四方に道が通じており、どこへ行く場合も起点となる。サイド・ボウアビッドというモスクがあり、そのミナレット(尖塔)がランドマークになります。

グラン・ソッコ2
広場周辺にはレストランや店舗が多い
グラン・ソッコ地図
グラン・ソッコ、上の公園に目的地があるはず
カフタン
女性の正装カフタンの店
公園
公園は閉鎖中、なんてこったい

 タンジェに行ってみたかった理由のひとつが、グラン・ソッコに面した公園にイブン・バットゥータのお墓があると聞いたので。バックパッカーの大先輩みたいな偉大な旅行家のお墓にお参りしよう…と思ったらなぜか公園は閉鎖されていました。

イブン。・バットゥータ空港
タンジェのイブン・バットゥータ空港

  イブン・バットゥータを知っていますか?
 ほとんどの人は知りません。高校世界史の教科書にはイスラム文化関係でかろうじてのっていますが、全然有名ではありませんね。でもすごい旅行家でした。
 1304年にタンジェで生まれた法曹家ですが、若い時から旅を続け東・西・北アフリカ、中東、南・中央・東南アジア、東欧、中国と当時の交通事情からするととんでもない範囲を旅行しました。この30年にもわたる旅の記録は『三大陸周遊記』にまとめられています。
 1368年に没したとされますが、タンジェに残る白い廟が彼の墓と伝えられています。タンジェの空港は、彼にちなんでイブン・バットゥータ空港と名付けられました。

チキンタジン
お昼ご飯はチキン・タジン25ディラハム(¥300)
ショルバ
ショルバ(スープ)5ディラハム(¥60)
これにホブス(モロッコパン)がつく
プリンケーキ
プリンケーキ、5ディラハム(¥60)
アーモンドヌガー
アーモンドヌガー(100g)12.5ディラハム(¥150)
スペインからのフェリーが入る港

 短いモロッコ滞在でしたが、午後のフェリーでスペインに戻ります。物価の安さから見るともっとモロッコにいたい気持ちになってしまいますね(笑)。お気に入りの国なので、いずれ3回目の訪問もあるかも。

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この記事を書いた人

 トラタロウは元世界史・地理の教員です。授業のネタにするため毎夏・冬休みにバックパッカーとして海外旅行に出かけ、83ヶ国を訪れました。旅行情報や旅ネタを紹介していこうと思います。
 2022年(令和4年)11/30よりマレーシアに移住しました。クアラルンプールに住み、姉妹ブログ『KLダイアリートラタロウ』を作って、移住やマレーシアの情報を発信する予定です。
 でも当分はネット環境構築でうまく更新できないかもしれません。
 

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