現地食探求はバックパッカーのたしなみ。世界のB級グルメを紹介します。
今日のお題は餃子。日本のそれは中国から伝わったものですが、中国の餃子はだいぶ違います。
中国の餃子は何がちがうの?
「〇〇を本場で食べたら思っていたほど美味しくない、何か違う」ということはよくある事でしょう。ましてや外国にルーツを持つ食べ物だと、日本人向けにアレンジされていたりするので、本場の味が異質に感じることがあります。
トラタロウが初めて四川省の成都に行った時、四川発祥の担々麺を食べて驚いたのが、汁なし麺だったこと。なんでも日本に移住した料理家・陳健民氏が担々麺を伝えた時、当時の日本人には汁なし麺はなじみが無かったのでラーメン風にアレンジしたとか。
本場中国の餃子(中国音でチャオズ or ジャオズ)も担々麺どころではない相違点があり、日本の餃子の感覚で注文するとガッカリします。相違点をまとめてみました。
①餃子はおかずではなく、主食です
最大の違いはこれですね。中国の餃子は小麦を美味しく食べる手段のひとつで、日本の食べ物でいえばおにぎりになります。おにぎりをおかずに米飯を食べるのは何だかおかしい事ですが、「日本人は餃子をおかずに米飯を食べる」と中国人が聞くとおかしく感じることでしょう。
中国人は餃子のみをひたすら食べ続けたり、他のおかずをつまみながら餃子を食べます。
②中国餃子は皮が厚い
向こう側が透けて見えそうな日本の餃子の皮とちがって、主食である中国餃子の皮はぶ厚いのです。ぶ厚くてちょっと固い皮の餃子のみを食べ続けるのは、なかなか苦行でした。最近は中国の外食産業レベルが上がり、餃子の皮もプリプリ、モチモチ感を強調してだいぶ美味しくなりましたけど。
➂基本的に焼き餃子はありません
一番最初にあげた写真は、中国でも餃子の本場である東北地方の食堂です。看板に「手工水餃」…手作りゆで餃子、「蒸餃」…蒸し餃子、の文字が見えます。
餃子の加熱方法は焼く、茹でる、蒸す、油で揚げる、の4つがありますが、ほとんどは茹でるか、蒸すで、焼き餃子はめったに見ません。
※ 中国では一部の漢字は省略された簡体字を使っています。餃子も饺子という簡体字になります。大連の蒸し餃子店の字も同じですね。
④餃子は北の食べ物、南にいくほど少なくなります
日本で餃子は全国的に食べられていますが、中国の餃子需要は圧倒的に北側の地域です。これは単純に小麦粉製品なので、麦作地帯でさかんに食べられたからです。
チンリン・ホワイ線という地理用語があります。チンリン山脈とホワイ川を結ぶ線が年降水量1000mmの境で、ここが麦作・稲作の境であり、中国では餃子を食べる数の境となります。
南で有名な餃子といえば、飲茶の定番エビ蒸し餃子(蒸蝦餃)がありますが、あれは浮き粉(小麦粉のデンプン部分)で作るので、ちょっと特殊な餃子になります。
⑤その他
a、店によりますが、両(50g)単位で食べたい量を注文できます。
b、ニンニクは入れません。餃子を食べながら齧ることはあります。
c、大晦日に食べる縁起の良い食べ物とされます。餃子の音が子供を授かる(交子)と同じであることや、昔の銀塊(馬蹄銀)に形が似ていて、お金持ちになれると縁起をかつぐのです。この時砂糖入りの甘い餃子をたべると、甘い1年間を過ごすことができるとか。
d、好みの問題ですが、中国餃子は酒のサカナにはならないかな。おにぎり食べながら飲めますか?
焼き餃子は無いの?
無くはないのですが、ごく少ないです。上の画像は大連で見た焼き餃子ですが、日本のように生餃子を蒸し焼きにしたあと焼き目をつけるのではなく、加熱された餃子を再度焼いている感じでした。中国の焼き餃子は冷めた水・蒸し餃子の再利用的な感覚みたい。
ただ日本人的には皮の厚い餃子を焼かれても、あまり美味しくはないですね。やはり薄い皮でパリッとした食感が焼き餃子の醍醐味。ところがこれは中国人の味覚に合わないのか、2005年に中国に進出した餃子の王将は、2014年あえなく撤退しています。
台湾を中心に鍋貼(グオティエ)と呼ばれる餃子があります。これは形こそ棒状ですが、作り方も焼き方も日本の餃子に限りなく近く、とても美味しいのです。これは皮の作り方も違い、餃子とは別の食品あつかいだとか。
世界の餃子
さて餃子の定義はなにか。ウイッキペディアの餃子を引用させてもらうと以下のとおりでした。
餃子(ギョウザ、ギョーザ、拼音: jiǎozi)は、小麦粉を原料とした皮で、肉・エビ・野菜などで作った餡を包み、茹でる・焼く・蒸す・揚げるなどの方法で調理した食べ物である。
餃子 – Wikipediahttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A4%83%E5%AD%90
この場合、小麦粉を発酵させたり、膨張剤を入れるとパンの定義となります。
餃子に分類される食物は中国だけではなく、世界中にあります。。粘りの成分であるグルテンを含む小麦粉は、水を加えて練れば簡単に生地となり、それで具を包み加熱すれば餃子になってしまうからです。小麦粉がある国はすべて餃子に分類できる食物があるといってもいいでしょう。
トラタロウが訪れた国で食べた餃子をいくつか紹介します。
これらは蒸し餃子に近いですが、小麦粉の生地で包んで揚げたインドのサモサ、スペインのエンパナーダも餃子に分類されるそうです。分類上は揚げ餃子ですね。
世界の餃子を紹介したサイト に移動します
日本の伝統食品にも餃子に分類できる物がありました。長野県の郷土食おやきです。
誰もおやきを餃子という認識で食べませんが、小麦粉の生地で具を包み、加熱して作るので立派な餃子ですね。
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