現地食探求はバックパッカーのたしなみ。世界のB級グルメを紹介します。今日のお題は中国のジャージャー麵(炸醤麺)。麺発祥の地中国に数ある麺料理の中でもシンプルな物ですが、そのシンプルさゆえアレンジしやすいのか韓国や日本にも伝わり独自の進化をしています。
ジャージャー麵(炸醤麺)はどんな食べ物?
最初に用語の統一をお願いしておきます。漢字表記の炸醤麺をカタカナに音訳する場合「ジャジャン麺」(アルファベット表記だと Jajangmyeon )が妥当だと思われます。
ただ日本においては「ジャージャー麺」という表記が一番使われているようですので、本稿ではこれで統一させていただきます。

トラタロウが初めてジャージャー麵を食べたのが1991年(平成3年)、初めての中国旅行で北京に入った時でした。北京駅前の大衆食堂で壁のメニューを指さし注文。「麺は冷か温か」(水で冷やすか、ゆでた熱いままか)と聞かれたことを覚えています。
当時はそれが北京名物であることも知らず、白い麺に茶色い味噌だれがかかり、山のようにキュウリが盛られたシンプルさに唖然としました。
ジャージャー麵は山東省が始まりという説がありますが、中国北部の麦作地帯を中心にに広まっています。


現在の北京のジャージャー麵は野菜類を多くして、彩り豊かなビジュアルの物が多数派。でも昔ながらのシンプルなそれの写真もありました。

炸醤麺の炸は「揚げるor炒める」、醤(ジャン)は日本では醤油に使われる字ですが、中国ではペースト状発酵調味料の総称です。ジャージャー麵では小麦粉・塩・麹を使った甜麺醤(テンメンジャン)を使うのがお約束。甘味とコクのあるこれは回鍋肉(ホイコーロー)、麻婆豆腐など日本でも普及している中華メニューに使われていますね。
※ 甜麺醤の「麺」は小麦粉を意味します。日中で同じ漢字を使っていても意味が異なることが多々あります。「餅」も小麦粉製品を意味。月餅は日本の「もち」とは全然違いますよね。
※ 日本ではスーパーでも甜麺醤を買えるようになりました。これがあるとお家中華の幅が広がります。
トラタロウは現在住人の4割が華人というクアラルンプールに住んでおり、各種の中華料理食材が簡単に買えます。ところが甜麺醤だけはいくら探しても無い! マレーシアの華人は広州・福建など中国南方からの移民子孫です。甜麺醤は中国北方系の調味料でマレーシア華人は使わないみたい。回鍋肉、麻婆豆腐、そして炸醤麺もほとんど見ません。

ジャージャー麵はひき肉・タケノコ・しいたけなどを炒め、甜麵醬ベースの味付けをした味噌あんを麺にのせる「和え麺」です。あらかじめ味噌あんを作っておけば茹でた麺にのせるだけでOK。調理の簡単さから軍用食として考案された、という説があるくらいです。
野菜ものせますがキュウリが定番。でも最近はジャージャー麵も高級化し野菜が多彩になっていました。2025年5月に北京で飛行機乗り換えの空き時間を利用してジャージャー麵を食べに行ってみたらビックリ!
※ ShortTrip⑥ 一時帰国の帰りに北京・大柵欄に寄ってみた に移動します。
天安門広場にも近い北京の繁華街が前門。大柵欄と呼ばれる古くからの商店街はジャージャー麵の激戦地で、炸醤麺を強調した看板が並びます。



中国は6回ほど訪れており、各地でジャージャー麵を食べましたが、シンプルな物が主流。でも久々に北京で食べたら野菜の種類が多くビジュアルが派手化していました。
北京の観光地では①他店との差別化、②収益の増加、のために変化した様子。北京名物で推していますが他のメニューより値段も少し高い感じです。観光に関係ない地域や地方都市ではシンプルかつ安価なジャージャー麵が健在だと思いますが。


ジャージャー麵は後述するように韓国や日本にも広まりましたが、味噌あんは中国の物はしょっぱくて甘味が少ない感じ。まあ、甜麵醬があれば色々なバリエーションができますけど。
大柵欄で「醬」の専門店を発見しました。牛肉や野菜などを加えて「おかずとして食べる醬」のようです。「食べるラー油」や「金山寺味噌」のような物ですが、これを買えば簡単にジャージャー麵ができそう。




これは買いたいけど無理。なぜならこの商品は空港のセキュリティでは液体扱いされ、機内持ち込みに制限がかかるはず。預け入れ荷物ならOKですが、乗り継ぎの隙間時間に来ているので預け入れ荷物はもう預け済み。
北京・前門繁華街ジャージャー麵の様子
天安門にも近い繁華街前門や大柵欄は北京有数の繁華街。特に外国人や地方からの観光客が来る感じかな。街中も「老北京」(古き良き北京、昔ながらの北京)というイメージで改装していますね。久々に来ましたがジャージャー麵を名物として強調する「老北京炸醤麺」の看板が目立ちます。


「老」という字は日本よりもポジティブな感じ。「老太太」(年配女性への敬語)、「老朋友」(昔からの親友)など肯定的に使われます。料理の前につけると名物料理というニュアンスになるみたい。
ちなみに Teacher は老師(年が若くても)です。中国語で「先生」というと~さんという男性への敬称か、自分の夫という意味になってしまいます。


シンプルなジャージャー麵ではお金が取れませんので高級化を図る店もあります。具の数を増やすだけですが、それは野菜系であり肉系はありません。これが老北京(北京っ子)のこだわりなのかな?





韓国のチャジャンミョン
ジャージャー麵は韓国にも伝わりチャンジャンミョンと呼ばれます。1948年に仁川で華人のワンソンサン(王松山)氏が、甜麵醬にカラメルなどを加え、韓国人好みの春醤(チュンジャン)を作ったのが始まりとか。
初めてこれを食べたとき、味噌あんが真っ黒なのにビックリ。塩味が強い中国の物に比べてずいぶん甘い感じで、とろみがあるのが特徴です。
中国式の物もありザージャンミョンという発音みたい。

韓国には独身者の日(4/14)というものがあり、独身者はこの日に黒い服を着て黒い物を食べるとか。黒い食べ物はチャンジャンミョンが定番で、韓国ドラマにもよく登場するそうな。


日本のジャージャー麵
最初に記述しましたが炸醤麺の中国音はジャージャン麺が近いですが、日本ではジャージャー麵の方が多そうです。統計的な資料は未発見ですが、ネット検索するとジャージャー麵の方が多い気がします。


中国伝来の麺料理で一番普及しているのは担々麺でしょうか。それは日本に四川料理を紹介した陳建民氏から広まったのでしょう。でもジャージャー麵のほうは由来が不明です。
中国との違いは味噌だれの肉の量が多くて甘辛の味付けということ。共通するのはキュウリが添えられるという点ですね。これも統計資料はありませんが、西日本より東日本の方が普及しているような気がします。


※ 35年前に四川で担々麺を注文したら「何両ほしい?」と聞かれて???。1両(50g)でほしい量を指定するシステムでした。やってきた担々麵にスープが無くて??? 実は本場の担々麵は和え麵でした。スープの担々麵は和え麺に慣れていない日本人向けに陳建民氏がアレンジしたのです。
盛岡のじゃじゃ麺
日本のジャージャー麵は2つの系統があります。ひとつは前述した物。もうひとつは盛岡の名物料理になっているじゃじゃ麵。これは戦後旧満州(現中国東北部)から引き揚げてきた高階貫勝(たかしなかんしょう)氏が白龍(ぱいろん)という店を開き、現地で食べた炸醤麺をアレンジした物を出したのが始まり。
味噌だれは塩味が強く北京の炸醤麺に近い感じ。違うのは麺が平たいうどん系で、ショウガなどが添えられていることですね。



他のジャージャン麵に無いじゃじゃ麵の特徴が「ちいたんたん」。漢字で書くと鶏蛋湯ですが、その中国語読みです。卵は中国語だと蛋と書き、湯はスープを意味します(お湯は熱水と書きます)。
これが欲しい人は味噌だれや具を少し残しておきます。生卵を割り入れほぐしたら熱いゆで汁をそそいでもらい卵スープとしていただきます。
じゃじゃ麵は日本のジャージャー麵しか知らないと違う食べ物みたいですが、一番中国の炸醤麺に近いです。



これも盛岡の名物食品です。コッペパンに様々な具を塗っていただく福田パンとじゃじゃ麵の味噌だれのコラボでした。

ジャージャー麵は香港や台湾にも独自の物があるそうです。次回訪れたら探してみます。

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