現地食探求はバックパッカーのたしなみ。世界のB級グルメを紹介します。今日のお題はベトナムの(クアン)コムビンザン。これは食べ物の名前ではなく、大衆食堂の名称。
お店にはたくさんの料理が並んでおり、主菜を選ぶとご飯やスープと組み合わせて定食のようにいただけます。様々なベトナムの料理をリーズナブルに味わえ、現地人の生活をかいま見ることができる楽しい場所です。
※ トップ画像は客の注文に応じる昼時のコムビンザン
名称はいくつかあります
一番長い名称だと Quán cơm bình dân ですね。ベトナム語で Quán は場所や店(漢字の館からきているかな)、 cơm は米飯、食事、bình dân が庶民を意味しますので「大衆食堂」と訳せるでしょう。
長いので「クアンコム」か「コムビンザン」と書いてある場合が多い。もっと単純に「コム」という場合もあります。昔の日本と同じく、ベトナムでも米飯=食事ですので。
(クアン)コムビンザンは店の前のショウケースや机におかずが並べられているのですぐわかります。昼食時には小皿におかずが盛られていたりします。
おかずは作り置きで、特に保温されていません。まあ冬の北部や山岳地帯をのぞいて基本的に暑い国なので、熱いものを食べる習慣は少ないでしょう。スープや麺類でもそんなに熱々にはしませんしね。
どんな主菜があるのかな
肉・魚・豆腐などのタンパク質系がけっこうメイン。野菜は生野菜が別につきますし、精進料理専門の大衆食堂もあります。
おかずの種類は店によりますが10~20くらいが多い。30~40もある店もあるとか。お弁当形式のお持ち帰りも可能です。
肉類は豚肉が中心。中国の影響が強く、豚肉を忌避するイスラム教徒も少ないので市場で見る肉も豚が一番多い。ひき肉にして豆腐や卵料理にも合わせます。
鶏も食べますが、さほど鶏肉のおかずは見かけません。メコン河の支流が多い南部や沿岸部では魚介のおかずも多いです。
全体的な特徴としては味付けがニュクマム(魚醤油)中心で煮物が多いので「色調が茶色」になります。運動部系男子高校生の好きなお弁当のおかず、と思ってください。
おかずがたくさん並び、盛りは少な目、しかも安いので多くの種類を食べたい誘惑にかられます。でも味付けが濃いめですので、1人2~3品に抑えるのが無難。
昔の日本のように「少量のおかずで大量のご飯を食べる」というスタイルなのです。小皿おかず1品で白飯2杯ぐらいいける。ご飯はかなり盛られます。
煮物が中心で揚げ物はあまり見ません。揚げ春巻きなんか食べたいけれど見ませんでした。麺屋だと定番の具なのになあ。
主菜を選べば定食化されます
(クアン)コムビンザンでの注文は簡単。主菜を指さしで選べばご飯、生野菜、スープ、お茶 などがセットできます。生野菜、スープ、お茶は有料なのでいらなければ断ってもOK。
主菜は1品ごとに小皿に盛られる場合と平皿に盛られたご飯の上にのせられる場合があります。南部は前者、北部は後者のスタイルが多いと思いました。
※ 料金は食べる地域、店、注文品の内容・量、為替レート、訪越時期などで変わりますので参考程度です。まあ今のところ¥200~¥300で満腹。
にたような食事システムとしてマレーシアのナシ・チャンプルがあります。マレーシアの方が物価が高いのでおかず・ご飯のみで¥300~¥400ぐらいはします。
世界のB級グルメ/06 ナシ・チャンプル in マレーシア に移動します
精進料理の大衆食堂がコムチャイ
ベトナム人は動物性たんぱく質もなかなかお好き。でも熱心な仏教国でもあるので、精進料理を食べる期間もあるし、ヴェジタリアンもいます。
そんな人達の需要に答えるのが精進大衆食堂 コムチャイ Cơm Chay 。けっこう頻繁に見かけました。豆腐・湯葉などが肉がわりに使われます。
Cơm Chay の Chay が精進料理を意味するそうです。ちなみにベトナム語はアルファベット化されていますが、同じスペルの単語でも整調記号や母音記号が違うと意味が異なるとか。
Cơm Cháy と書くと「おこげ料理」になるらしい。発音も難しいし習得は大変そう。
B級グルメ大国ベトナムですが、(クアン)コムビンザンでお気に入りのおかずを探すのも良いものです。ここで出るご飯は小粒ですが、わりと粘りもあって日本人には美味しく感じられました。
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